4人が死亡した巨大竜巻が米オクラホマ州を襲った4月27日夜のこと。上から2番目に強いランク(EF4=風速75〜89メートル)の竜巻が迫るなか、ウェイン・ベイカーさんと妻リンディーさん、それに息子のブランソン君(9)は同州ディクソンにあるシェルターに向かって車を飛ばしていた。しかし途中で竜巻に追いつかれ、車ごと林に叩きつけられた。

 ウェインさんとリンディーさんは背中、首、肋骨を折る重傷を負い身動きできなくなった。しかしブランソン君は奇跡的に無傷。大破した車から這い出し、両親に「絶対に死なないで。必ず戻って来るから」と言い置き、助けを求めに走り出した。

 竜巻で広域停電が起こり、道路は真っ暗。そんな中、ブランソン君は、1.6キロほど離れた場所にあった民家にたどり着き、事情を説明して緊急通報をしてもらった。

 すぐに救急隊員が事故現場に駆け付け、ウェインさんとリンディーさんを病院に搬送。幸い2人とも一命を取り留めた。

 大人でもパニックを起こしておかしくない状況で、冷静に救援を求め、両親の命を救ったブランソン君には「小さなヒーローだ!」との絶賛が寄せられている。