巨人の秋広優人(21)が7日の中日戦で今季初の一軍昇格を果たした。

 球団OBのゴジラ松井の背番号「55」を継承する4年目の大砲候補だが評判はあまり良くない。

 中日戦前の練習中、オフに自主トレをともに行っている中日・中田と再会。一塁ベンチ前で20分間ほど談笑した。秋広はケガの梶谷と不振の中山が登録を抹消されたことで白羽の矢が立ったが、二軍戦でも打率.216、本塁打ゼロ。満を持しての昇格でないにもかかわらず、練習中に他球団の選手と長々話し込むのだから、のんきといえばのんきである。昇格に対し、阿部慎之助監督(45)が「良くて上げるわけじゃないんで、全く期待していない」と突き放したのも、日頃からこうした姿勢に不満を感じているからだといわれる。

 高卒3年目だった昨季は121試合で打率.273、10本塁打、41打点とブレーク。それでも、阿部監督が昨オフに「レギュラー」と公言したのは、岡本和真(27)、坂本勇人(35)、門脇誠(23)の3人で、秋広は「横一線」の競争を強いられた。さる巨人OBがこう言う。

「『秋広に早々レギュラーと言っちゃうと、安心しちゃうし、調子に乗らせないためでしょう。でも限りなくレギュラーに近い位置にはいた。秋広が昨年以上に活躍しないと優勝はない』と期待するコーチもいた。でも、一軍スタートだった春のキャンプから精彩を欠き、オープン戦は18打席で打率.125。阿部監督は『結果を出せなかった。ただそれだけ』と開幕一軍メンバーから外した。オフに秋広のレギュラーを確約しなかったのは、同じ若手でも遊撃の守備力が高い門脇とは違い、これといったセールスポイントがないこと。昨オフに公式行事に2度も遅刻するなど、油断しがちな性格面を考慮してのことでした」

 昨オフ、秋広の年俸は、2620万円アップの3250万円に昇給した。こちらも新遊撃手としてブレークした門脇の年俸も、2260万円増の3100万円となった。上がり幅、年俸もほぼ同額で、よく比べられる2人だが、前出のOBは「タイプは真逆」とこう続ける。

「阿部監督は練習熱心で模範生の門脇のことは『スーパースターに育てる』と買っているのに対し、背番号55の秋広に対しては、自身が二軍監督時代から指導していることもあって、ことのほか厳しい。阿部監督が突き放すのは期待の裏返しでもあるが、今回は梶谷やオコエが二軍落ちしたばかりで、外野手が手薄だからという消去法の昇格というのは確か。チャンスは少ないかもしれません。実際、この日は昇格初日にもかかわらず、出場機会がありませんでしたから」

 7日現在、チーム総得点84はリーグ5位という得点力不足の起爆剤にと期待されるものの、数少ないであろうチャンスをものにできなければ、二軍に送り返される可能性が高い。巨人の未来を託される若手有望株には違いないが、いきなり背水の陣という状況である。