ドジャース・大谷翔平(29)の機動力がエンジン全開だ。

 日本時間22日のダイヤモンドバックス戦の四回に今季初の三盗を決めると、六回にはズボンの膝付近を破りながら二盗に成功。13盗塁とした。

 打っては今季早くも22回目のマルチを記録し、打率.356でナ・リーグトップをキープ。13本塁打(同2位)、34打点(同6位)の打撃3冠に加え、史上初の偉業達成の可能性も出てきた。試合後のロバーツ監督が「今のまま本塁打を打ち続けて、走り続ければ、特別なシーズンになる」と話したように、「40-40」(40本塁打以上、40盗塁以上)に到達しそうな勢いだからだ。

「40-40」は昨季のブレーブス・アクーニャJr.(41本塁打、73盗塁)ら過去に5人が達成しているものの、チーム周辺では、「今の大谷なら『50-50』(50本塁打、50盗塁)も夢じゃない」との声もある。これは、通算最多本塁打記録(762本)を持ち「40-40」を達成したバリー・ボンズ(ジャイアンツ他)でさえ成し得なかった前人未到の領域だが、大谷なら、その可能性はゼロではないというのだ。

 開幕から着実にアーチを重ねるのはもちろん、今季の一塁到達平均タイム4秒11はナ・リーグ3位。今春のキャンプでは最新鋭の機器を使用して機動力アップを図っただけに、今後は盗塁を量産する態勢が整っている。

 昨年9月に右肘靱帯修復手術を受けたため、今季は投手をシャットダウンし、ここまでDHでの出場が続いている。守備に就かないDHは選手の貢献度を示すWARが加算されないため、MVP争いでは不利になるのは必至。大谷が史上初となるリーグをまたいでの2年連続MVPを受賞するには三冠王などの強烈なインパクトが必要になる。

 古巣エンゼルスの番記者であるオレンジ・カウンティー・レジスター紙のジェフ・フレッチャー氏は本紙の取材にこう話している。

「DH限定の選手がMVPを受賞するのは非常に難しいことなんです。MVPに選出されるとすれば、それこそクレージーな数字が必要になる。具体的には65本塁打して、打率も3割4分を超えるとか……。要するにそれだけハードルが高いということです」

 65本塁打はともかく、「50-50」なら、MVP投票資格を持つ全米野球記者協会会員(BBWAA)のフレッチャー氏が言う「クレージーな数字」に合致する。

 史上初の偉業を成し遂げれば、確実に印象度でライバルをしのぐが、果たして……。

 大谷は日本時間23日のダイヤモンドバックス戦に「2番・DH」で出場。