ドジャースのロバーツ監督によれば、日本時間17日のレッズ戦で牽制球を左太もも裏に受けた影響だという。

 大谷翔平(29)が26日のレッズ戦で三塁打を放ちながら全力疾走しなかった点に関してだ。

「太もも裏をケアしているところだ。昨日より今日の方が(状態は)良くなっているが、彼についてはスピードを制御しているんだ」(ロバーツ監督)

 この日は走塁をセーブしたものの、太もも裏に牽制球を食らってからも盗塁をマーク。22日のダイヤモンドバックス戦で三盗、二盗を決めて盗塁数を13に。太もも裏を痛めながら、休まないどころか走りまくっていたのだ。

 大谷は体に張りがあるくらいじゃ試合を休まない。極め付きは昨年7月28日、タイガースとのダブルヘッダー。1試合目に完封すると、休養を勧める首脳陣を制して45分後にスタートした2試合目にスタメン出場。本塁打を2本放った。

 試合を休もうとしないのは、野球が好きで、プレーするのが楽しくて仕方ないからだろう。なにしろニューヨーク遠征では宿舎と球場以外、外に出かけたことがないほど。

 昨年暮れのNHKのインタビューではスライダーについて、「浮力をちょっと上げる代わりに横幅が狭くなったりとか、浮力を落とす代わりに横幅を広くしようとか」「ピッチングはデザインみたいな感じと言われているので、どういう形にデザインしていくか」と話している。ピッチングを自分でデザインするのが好きで楽しいのだ。

 巨人からヤンキース時代にかけて1768試合連続出場の松井秀喜は、自著「不動心」の中で「好きな野球で常に勝ちたい。『好きこそものの上手なれ』は、物事の核心をついていると思う」と書いている。心底、野球が好きで楽しい。だからこそ休まなかったし、結果としてワールドシリーズMVPを獲得することもできたのではないか。

 大谷も同じ思考が根底にあるのだろうが、その思いが強過ぎるだけに体にかかる負担はハンパじゃない。件のダブルヘッダーでは2本目の本塁打を打った直後からけいれんに悩まされ、シーズン終了間際に2度目の右肘手術をするハメに。野球が好きで、面白いがゆえに、無理を無理と思わず、取り返しのつかないことになりかねないのだ。

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 日刊ゲンダイは大谷が日本ハム入団当時のGMである山田正雄スカウト顧問にインタビューを実施。結婚、二刀流、その素顔などを聞いた。その中でも、山田氏を驚嘆させた「普通でなかった大谷の思考回路」とは……。

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