パナソニックは、小型軽量サイズでありつつも描写性能を追求したミラーレス一眼「LUMIX S9(DC-S9)」を発表。6月20日に発売する。価格はオープンだが、ボディ単体は税込208,000円前後の実売が予想される。加えて、標準ズームとのキット、高倍率ズームレンズのキットも用意する。

製品の発表にあたり都内で発表会が開催され、冒頭にパナソニック エンターテインメント&コミュニケーション株式会社 副社長執行役員 イメージングソリューション事業部長の津村敏行氏が登壇。製品の詳細については別記事でお届けしているので、本稿ではここで語られた、本製品のコンセプトと狙いについてお伝えしたい。

まずは市場環境が説明された。現在SNSの利用者が伸び続けており、「1億総クリエイター時代」といっても過言ではない時代に突入しているという。一方でSNSに投稿する写真は、やはりスマートフォンが主流。そのような状況の中、カメラメーカーがこの領域に対して積極的な製品開発をすることで、写真・動画にこだわるSNSユーザーの需要を牽引していくことを狙ったという。

そこで同社がSNSを通じてアンケートを実施。その結果、SNSを使うことではなく、多くのユーザーが「SNSそのものを通じて人生を豊かにしたい」という目的があることが判明という。「豊かさそのものを追求していく。そういったことを考えると、カメラにはまだまだ進化の余地があるのではないか」という視点から、多くのユーザーに新しい感動を届けるために開発したのが、今回のLUMIX S9だと解説する。

LUMIX S9の特徴は、「LUMIX S5IIクラスの高性能を小型ボディに凝縮」「毎日持ち歩きたくなる新レンズ」「新アプリとの組み合わせ」の3つ。カメラ性能の根幹となるイメージセンサーと映像エンジンについては、上位モデル「LUMIX S5II」と同じものを採用。像面位相差AFも備えているほか、動物やモータースポーツも含めた認識AFも同様にサポートする。

そしてレンズについては、全長約18.1mmのパンケーキレンズ「LUMIX S 26mm F8」を同時に発表。31,900円(税込)のレンズとなるが、9月1日までの発売記念キャンペーンとして、LUMIX S9を購入したユーザーには無料でプレゼントされる。また開発発表のみにとどまったが、小型軽量ズームレンズ「LUMIX S 18-40mm F4.5-6.3」も今年中に投入するとのことだ。

また新アプリ「LUMIX Lab」では、カメラとスマートフォンをWi-Fi接続して写真を転送、SNSにそのままシェアできる。Wi-Fiは高速な5GHz帯を利用することも可能。オリジナルのLUTを作成して色味などを調整できるほか、クリエイターが作成したLUTもダウンロードして適用できる。作成したLUTはファイルを書き出して共有にも対応する。また、カメラ本体にもリアルタイムLUT機能が備わっており、最大39のLUTを登録して切り替えることが可能だ。

製品のキャッチコピーとして、「SHOOT. EDIT. SHARE.」というものをグローバルで設定。スマートフォンからアプリで編集して、かんたんにSNSに投稿できるという意味から、EDITの部分に取り消し線が引かれているという。ワークフロー全体の革新を行うことで、「SNSライフの革新」を図ったとのこと。

津村氏は、LUMIX S9について、「スマートフォンとカメラの新しい関係性」を提案することで、SNSを通じて豊かになりたいユーザーを支援すると強調。「スマートフォンと競合するのではなく、共に進化をしていく。そのことによって、カメラの業界そのものが活性化していくという風に考えている。そこにぜひとも貢献していきたい」と語った。