PRESIDENT Online 掲載

新NISAの口座を開設した投資初心者は、まず何を買えばいいのか。ファイナンシャルプランナーの寺澤真奈美さんは「何を買うかを考える際に、初心者が手を出してはいけない商品を知っておくことが重要」という――。

■長期安定か、ハイリターンか

旧NISAと新NISAの違いがどこにあるのかというと、これまでどちらかしか選べなかったNISAが「ひとつにまとまった」というところ。

旧NISAの「つみたてNISA」は「つみたて投資枠」、「一般NISA」は「成長投資枠」という名称に変わり、この2つを同時に併用できるという立て付けで、ひとまとめになりました。

また、年間の投資上限額も、「つみたて投資枠(旧つみたてNISA)」は年間40万円から120万円に、「成長投資枠(一般NISA)」は年間120万円から240万円と引き上げられ、合計360万円まで拡大しました。

現在、「つみたて投資枠」で購入できる商品は投資信託や一部の上場投資信託(ETF)282本、「成長投資枠」で買える商品は上場株式(日本株式・外国株式)のほか、投資信託(ETF・REIT含む)が2215本あり、1人あたり1800万円まで購入できる「生涯投資枠」が設定されています。

「つみたて投資枠」と「成長投資枠」では、買える商品の内容には以下のような違いがあります。

つみたて投資枠の対象商品=長期の積み立て、分散投資に適した一定の投資信託、一部の上場投資信託(ETF)
成長投資枠の対象商品=上場株式(日本株式・外国株式)や投資信託、上場投資信託(ETF)、上場不動産投資信託(REIT)など

要は、「つみたて投資枠」は長期の積み立て、分散投資による資産形成に向いた商品が中心。一方、「成長投資枠」は、成長が見込める企業や業界などの幅広い投資で、株価の上昇によって資産を増やすことが目指せる商品もラインナップされている、という違いがあるのです。

NISAは「国のお墨付きだから安心安全なはず」という風潮がありますが、どちらを選ぶにしても相場の変動に影響を受ける投資には違いありませんから、当然、元本割れのリスクはあります。そのほかにも気を付けるべき点があり、「NISAならなんでも大丈夫だろう」と適当に選ぶと、思わぬ損失をかぶることも。

予備知識ゼロで飛び込むのは当然、危険が伴いますから、気を付けるべきポイントについて見ていきましょう。

■最も警戒すべきは「手数料」

投資初心者が商品を選ぶときに、最初に気を付けるべき点は、証券会社へ支払う「手数料」です。手数料が高ければ、運用がプラスになったとしても手元に残るお金が減ってしまうため、NISAのせっかくの非課税メリットも目減りすることに。そのため、手数料を低く抑えることが、NISAのメリットを最大にするポイントとなるわけです。

投資信託にかかる手数料には、買うときにかかる「販売手数料」、持っている間にかかる「信託報酬」、解約して売るときにかかる「信託財産留保額」の3種類があります。

このうち、最も注意すべきが信託報酬。信託報酬は保有している間、ずっと支払い続けなければなりません。そのため、長期保有が基本であるNISAにおいては、資産に対して大きな影響が出てきます。

売買時にかかる2つの手数料については、その時限りで支払うものなので、信託報酬ほど大きな影響はないうえ、販売手数料が無料の投資信託「ノーロード」の商品を選べば問題ないでしょう。