2024年5月24日、華字メディアの日本華僑報網は、KDDIによるTOB(株式公開買い付け)の成立により、コンビニ大手のローソンが7月24日に上場廃止となる見通しが発表されたニュースを受けて、「ローソンの上場廃止の陰にあるのは波乱か?」とする記事を掲載した。

記事は初めに、「ローソンは上場廃止により、24年滞在した株式市場に別れを告げることになったが、このニュースが流れた後、中国国内でチェーン展開中のローソンの店舗も業務を停止するのではとの報道がトレンド入りした。上場廃止という言葉はいつも、背後にあるネガティブなニュースや情勢と共に語られることが多いからだ。ローソンの上場廃止がここまで強烈な注目を浴びるのも、その去就が日本の小売業界に影響を及ぼす大ニュースであるとともに、日本のコンビニ業界の御三家と呼ばれるセブン-イレブン、ファミリーマート、ローソンが全てコンビニ単体として上場企業の幕を下ろすことになったからだ。さらに言うならば、コンビニ業界や消費社会がローソンの上場廃止を契機に大きな異変が起こるのではとの心配の風も吹き始めている」と述べた上で、「事実は、データが示すようにローソンを含む日本のコンビニ御三家の23年度の営業利益は過去最高を記録した。その中でもローソンが最も突出していた。業績不振により上場廃止になったわけではなく、その背後には強い戦略的指向があることを示している」と指摘した。

また、「今回のローソンの上場廃止は、KDDIのTOBによるものである点に注目すべきだ。大手電気通信事業者のKDDIは19年にローソンとの資本提携を始め、公開買い付けにより持ち株比率を50%に上げ、ローソンの親会社である三菱商事と共同経営することとなった。KDDIとローソンはサービス対象の領域は違えど、強大な会員ネットワークとデジタルデータを共有しているため、ローソンがバージョンアップした次世代のコンビニを目指す推進力になるとの見方もある」と述べた上で、「次世代のコンビニについて、運営側が描くデザインは、現実、デジタル、クリーンエコロジーの三つの層から成り立っていると考えられる。例えばデジタルにおいては、ローソンとKDDIがそれぞれ持つ1000万人の訪日客と3100万人の顧客データを統合活用することが可能になる。エコ領域では将来カーボンニュートラルを推進する拠点となり、バイオものづくりの方向へ転換かつアップグレードすることも可能だ。少子高齢化について、日本社会の重要な構成要素として存在するコンビニエンスストアとして、人口不足の圧力と危機に直面するローソンは、労働保障と顧客価値向上の両立を重視したストレスフリーなサービスコンセプトを打ち出している。そこに電子技術と資本の投資と変革により、日本社会により多くのエネルギーをもたらす『ゼロプレッシャーコンビニ』が誕生することも期待されている」と指摘した。

記事はさらに、「auブランドを持つKDDIは、国内通信市場の飽和、成熟により成長の難しさに直面していることを背景に、『au経済圏』を国内市場の新たな成長軸と位置付けており、ローソンとの提携はこの経済圏を拡大推進する手段の一つとも考えられる。PayPay、楽天、ドコモ、au、イオンの『5大経済圏』の競争が激化する中で、KDDIは生活に浸透しているローソンから恩恵を得て、発展する可能性に目を向けている」と述べた上で、「ローソンの上場廃止はまさに『前進のための後退』とも言える。一瞬で千変万化する日本の経済と国内消費市場から見れば、ローソンのフォームチェンジが模範となるかに比較的大きな意義と影響を見出すことができるだろう」と論じた。(翻訳・編集/原邦之)