<為替> 日本当局による介入観測で前日に急騰していた日本円が対ドルで下落した。一方、米雇用コストの伸びが予想を上回ったことを受け、ドルが上昇した。

円は対ドルで0.88%安の157.73円となった。月間では4.04%安と2023年2月以降で最大の下げとなる見込み。

ドル指数は上昇。米労働省が30日に発表した2024年第1・四半期の雇用コスト指数(ECI)は前期比1.2%上昇し、伸びは前四半期の0.9%上昇から加速した。ロイターがまとめたエコノミスト予想は1.0%上昇だった。

シルバー・ゴールド・ブルの為替・貴金属リスク管理部門ディレクター、エリック・ブレガー氏は「ドル/円はなお上昇傾向にある。トレンド転換には、1)政策の方向性の違いがやや収束し米債市場により持続可能な買いが入り、ドル/円が約2週間ぶりの安値を付ける、2)日銀当局者の発言に何かしらの変化が出る──のいずれかを確認する必要がある。おそらく後者になるはずだ」と述べた。

日銀が30日に公表した1日の当座預金予想が民間予測から大きく乖離し、29日のドル/円の乱高下の背景に5兆円規模の円買い介入があったことが示唆された。

ドル指数は0.52%高の106.24。ユーロ/ドルは0.42%安の1.0674ドル。ポンド/ドルは0.49%安の1.2499ドル。

ドル指数は月間で1.7%高と、今年1月以降で最大の上昇となる見込み。一方、ユーロは同1.11%安、ポンドは同1.02%安と昨年9月以降で最大となる見通し。

バンク・オブ・アメリカのテクニカルストラテジスト、ポール・シアナ氏はメモで、ドル高が基本シナリオとし、第2・四半期の一段高を見込んでドルの押し目買いを依然として推奨するとした。  

NY外為市場:[USD/J]

<債券> 国債利回りが上昇した。朝方発表された第1・四半期の米雇用コストが予想以上に上昇し、米連邦準備理事会(FRB)の利下げが後ずれするという見方を支えた。   

米労働省が30日に発表した第1・四半期の雇用コスト指数(ECI)は前期比1.2%上昇し、伸びは前四半期の0.9%上昇から加速した。賃金・給与の上昇を背景にエコノミスト予想の1.0%上昇を上回り、24年序盤にインフレが加速した可能性を裏付ける内容となった。

終盤の取引で、10年債利回りは7.8ベーシスポイント(bp)上昇し4.69%。月間では49.6bp上昇と、2022年9月以来の高い伸びを記録した。

30年債利回りは5.3bp上昇の4.767%。月間上昇率は45.4bpと、23年9月以来の大きさ。

2年債利回りは、一時昨年11月以来の高水準となる5.045%を付けた後、6.8bp上昇の5.0413%。月間では42.1bp上昇し、23年6月以来の高い伸びを記録した。

30日―5月1日の米連邦公開市場委員会(FOMC)の行方が注目される。政策金利の変更は予想されていないものの、会合後のパウエルFRB議長の記者会見での発言が注視されている。また、バランスシート縮小ペースの減速について何らかの発表があるかも注目されている。

ウェルス・エンハンスメント・グループのシニアポートフォリオマネージャー、アヤコ・ヨシオカ氏は「FRBは板挟みの状況にある」と指摘。政府の財政が一段の圧力にさらされるため、利上げに向けたハードルが非常に高い半面、「インフレは異常な状況で、FRBは現在の水準を維持したいという考えだろう。しかし、行動しなければ市場をいら立たせることになる」と述べた。

30日発表された他の米指標は強弱まちまちの内容となった。

CMEのフェドウオッチによると、金融市場が織り込む12月の利下げ確率は77%と、1週間前の90%から低下した。

米金融・債券市場:[US/BJ]

<株式> 1─2%下落して終了した。FOMCの結果発表を翌日に控え、この日発表の経済指標で示された雇用コスト上昇や消費者信頼感の低下が意識された。    

1─3月期の米雇用コスト指数は前期比1.2%上昇と、予想以上の上昇率となり、賃金上昇圧力が高まっていることが示された。また、4月の消費者信頼感も低下し、約1年半ぶり低水準となった。

5月1日まで2日間の日程で開かれるFOMCでは、金利据え置き決定が予想されている。

テスラ、アルファベット、エヌビディア、マイクロソフト、アマゾン・ドット・コムなど、巨大テック7社「マグニフィセント・セブン」の大半が下落した。

このほかの個別銘柄では、GEヘルスケアが下落。同社の第1・四半期収益はアナリスト予想を下回った。一方、3Mは四半期利益が予想を上回り上昇した。

製薬大手イーライリリーは通期利益予想を上方修正したことに支援され上昇した。ペイパル も通期調整後利益予想を上方修正し上昇した。

LSEGのデータによると、米S&P総合500種指数採用企業でこれまでに第1・四半期決算を発表した265社中、79.2%でアナリスト予想を上回った。長期平均は67%。

米国株式市場:[.NJP]

<金先物> 対ユーロでのドル高を背景に、4営業日ぶりに反落した。中心限月6月物の清算値(終値に相当)は前日比54.80ドル(2.32%)安の1オンス=2302.90ドル。

NY貴金属:[GOL/XJ]

<米原油先物> イスラエルとイスラム組織ハマス間の戦闘休止の交渉の行方に注目が集まる中、供給不安がひとまず和らぎ、続落した。米国産標準油種WTIの中心限月6月物は前日清算値(終値に相当)比0.70ドル(0.85%)安の1バレル=81.93ドルとなった。月間では1.49%安。7月物の清算値は0.75ドル安の81.28ドルだった。

NYMEXエネルギー:[CR/USJ]

ドル/円 NY終値 157.80/157.8    

2

始値 156.92    

高値 157.84      

安値 156.86      

ユーロ/ドル NY終値 1.0665/1.066    

6

始値 1.0727    

高値 1.0728      

安値 1.0665      

         

  米東部時間      

30年債(指標銘柄) 17時05分 91*18.00 4.7839%

  前営業日終値 92*08.50 4.7370%  

10年債(指標銘柄) 17時05分 94*22.00 4.6819%

  前営業日終値 95*07.00 4.6120%  

5年債(指標銘柄) 17時05分 99*19.25 4.7154%

  前営業日終値 99*30.00 4.6390%  

2年債(指標銘柄) 17時04分 99*22.25 5.0372%

  前営業日終値 99*26.13 4.9730%  

         

   終値 前日比 %  

ダウ工業株30種 37815.92 -570.17 -1.49

 前営業日終値 38386.09      

ナスダック総合 15657.82 -325.26 -2.04

 前営業日終値 15983.08      

S&P総合500種 5035.69 -80.48 -1.57

 前営業日終値 5116.17      

         

COMEX金 6月限 2302.9 ‐54.8  

前営業日終値 2357.7      

COMEX銀 7月限 2665.4 ‐100.6  

前営業日終値 2766.0       

北海ブレント 6月限 87.86 ‐0.54  

前営業日終値 88.40      

米WTI先物 6月限 81.93 ‐0.70  

前営業日終値 82.63      

CRB商品指数 291.4627 ‐3.8347  

前営業日終値 295.2974