[フランクフルト 23日 ロイター] - 欧州中央銀行(ECB)が23日に発表したユーロ圏の2024年第1・四半期の妥結賃金の伸び率は4.69%だった。昨年第4・四半期の4.45%からやや上昇した。

ECBは6月の政策金利引き下げを示唆しているが、その後の政策運営に影響を及ぼしそうだ。

ECBはブログで「全般的に見て、妥結賃金の伸びは24年に高水準を維持すると予想される」とした上で、「しかし、賃金上昇圧力は24年に減速するとみられる」と言及した。

ECBは新規採用者の給与水準が鈍化していることを指摘。「インディード賃金トラッカー」は22年10月に付けたピークの5.1%から24年4月には3.4%に低下した。

ECBは、ユーロ圏の1人当たりの従業員報酬が24年に4.5%、25年に3.6%、26年に3.0%伸びると予想。これはECBがインフレ目標2%と整合的と見なす3%を当面上回る見通しだ。

S&Pグローバル・マーケット・インテリジェンスのエコノミスト、ディエゴ・イスカロ氏は「第1・四半期の賃金の数値が、ECBによる6月の25ベーシスポイント(bp)の利下げ決定を妨げるとは予想していないが、賃金の伸びが根強いことで、7月に連続して利下げされる可能性は低くなる」との見方を示した。