パリ五輪の初戦まで約1か月半。アジア王者としてフランスの地に乗り込むU-23日本代表は、グループステージで7月24日にパラグアイ、27日にマリ、30日にイスラエルと対戦する。

 メンバーの登録人数は18人+バックアップの4人。選考は佳境を迎えており、それぞれの選手たちが所属クラブでアピールに励んでいる。

 ただ、五輪はインターナショナルマッチウィーク外の開催になるため、チーム編成は一筋縄ではいかない。海外クラブ所属の選手に関しては、山本昌邦ナショナルチームダイレクターを中心に交渉を進めているが、最後の最後まで誰がメンバー入りできるかは見通せないのが現状だ。

 それはオーバーエイジ(OA)枠にも当てはまり、先のU-23アジアカップ優勝後から数名の候補者が報道されてきたが、名が挙がっても消えてを繰り返しており、こちらも土壇場まで誰が抜擢されるかは不透明だ。

 OAで誰を招集し、どのポジションに配するかの予測は難しいが、現状ではCBとセントラルMFにそれぞれOA枠を使うことが予想されている。では、残された1枠はどのように使うべきなのか。誰をチームに組み込めるかで話は大きく変わってくるが、センターフォワードもOA枠の候補として挙がっている。
 
 現状ではセンターフォワードに関しては、細谷真大(柏)が軸。2022年3月のチーム立ち上げ当初から、エースとして大岩剛監督が率いるU-23代表を牽引してきた。狡猾な抜け出しと点で合わせる動きは世代トップクラスで、推進力と献身的な守備でも貢献する。

 昨季のJ1では14ゴールを挙げており、11月にはA代表の一員としてワールドカップのアジア2次予選に参戦し、今年1月にはアジアカップも経験した。実績は頭ひとつ抜けており、本大会でもセンターフォワードの軸として活躍が期待されている。

 ただ、気掛かりなこともあり、今年に入って調子を落としていた点だ。今季は開幕から無得点が続き、U-23アジア杯までネットを揺らせなかった。同大会中もグループステージで決定機を決め切れず、不安視する声も少なからず聞こえていた。

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 それでも、決して状態が悪かったわけではなく、動き出しやゴール前に入るタイミングはピカイチ。守備での貢献度も高く、ファーストDFとしての存在感は絶大だった。

 実際に守備でチームを助けつつ、カタールとの準々決勝(4−2)では延長戦で決勝点をゲット。イラクとの準決勝(2−0)でも得点した。「感覚的にも戻ってきていますし、取れる自信も出てきている。去年みたいな感覚に戻ってきている感覚はあります」という言葉に嘘偽りはない。

 大岩ジャパンで一気に調子を上げると、帰国後も状態を維持して第14節の湘南戦(2−1)で今季初ゴールをマークしている。

 もちろん、メンバー発表のタイミングでどのような状況になっているかは分からず、上田綺世(フェイエノールト)や小川航基(NEC)といったA代表組や、大迫勇也(神戸)といった実績十分のストライカーの力を借りる手もあるが、現時点では細谷に対する信頼は揺るがない。
 
 仮に今後、ゴールから遠ざかったとしても、チームへの貢献度を考えれば、軸に据えない理由は見当たらないだろう。

 細谷の復調を考えれば、FWではなく、より層が薄いCBにOAのラスト1枠を使ったほうがチーム力アップも見込める。U-23アジア杯で好パフォーマンスを見せた高井幸大も、川崎で出場機会を失いつつあり、不安は依然として解消されていないからだ。

 そうしたチーム事情を踏まえれば、センターフォワードは細谷を軸に据え、サブの候補として、サイドでもプレーできる藤尾翔太(町田)や小田裕太郎(ハーツ)、ボックス内で強みを発揮できる福田師王(ボルシアMG)らがリストアップされそうだ。

取材・文●松尾祐希(サッカーライター)

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