こちらは「おとめ座(乙女座)」の方向約1億光年先の矮小銀河「IC 776」です。IC 776は1000個以上の銀河からなる「おとめ座銀河団」に属しています。明るい中心部を取り巻く円盤部は複雑に乱れた形態をしていますが、それでも若く高温の青い星々が集中している領域は渦巻腕(渦状腕)のように弧状に連なっているのがわかります。

【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の掃天観測用高性能カメラ(ACS)で撮影された矮小銀河「IC 776」(Credit: ESA/Hubble & NASA, M. Sun)】【▲ ハッブル宇宙望遠鏡(HST)の掃天観測用高性能カメラ(ACS)で撮影された矮小銀河「IC 776」(Credit: ESA/Hubble & NASA, M. Sun)】

この画像は「ハッブル宇宙望遠鏡(Hubble Space Telescope: HST)」の「掃天観測用高性能カメラ(ACS)」で取得したデータをもとに作成されたもので、“ハッブル宇宙望遠鏡の今週の画像”として欧州宇宙機関(ESA)から2024年4月29日付で公開されました。

ESAによると、ハッブル宇宙望遠鏡によるIC 776の観測は、おとめ座銀河団内の矮小銀河でX線源を捜索する研究の一環として実施されました。X線はコンパクトで高密度な天体(ブラックホール・中性子星・白色矮星)に伴星のガスや周囲の物質が落下する過程で形成される、高温の降着円盤から放射されている場合があります。ハッブル宇宙望遠鏡自身はX線を捉えられませんが、X線宇宙望遠鏡と連携することで、X線の発生源を可視光線を通じて高解像度で明らかにできるということです。

 

Source

ESA/Hubble – On the hunt for X-rays

文・編集/sorae編集部