前走着順に明暗

2024年5月5日(日)に東京競馬場で行われる第29回NHKマイルC。一昨年は4コーナーで後方の16、14番手にいた馬が、それぞれ2、3着。昨年は4コーナーで13番手以降にいた3頭が3着内を占めた。スピード一辺倒では通用しない東京のマイルGⅠだ。

まだ心身ともに成長途上の3歳馬にとって、ある意味2400m以上に過酷な一戦といえるかもしれない。そんなNHKマイルCにはどんな傾向があるのか。今回も過去15年の成績を参考にして検証していきたい。

☆所属
美浦所属馬が5勝(13連対)、栗東所属馬は10勝(17連対)。勝率と複勝率は栗東所属馬、連対率は美浦所属馬が上。所属別での有利不利はないと見ていい。

出走馬の所属,ⒸSPAIA


☆性別
性別では、牡馬が13勝(23連対)、牝馬が2勝(7連対)。勝率は牡馬が、連対率と複勝率は牝馬がリード。これも所属と同様、どちらが有利とは言えない。

出走馬の性別,ⒸSPAIA


☆キャリア
キャリア別に調べると、最も好走確率が高いのはキャリア3戦で複勝率は33.3%。勝ち馬が多いのはキャリア6戦で5勝。キャリア7戦を超えるといずれも勝率5%、連対率10%を切ってしまう。また、キャリア2戦やキャリア10戦以上の馬はすべて馬券圏外となっている。

出走馬のキャリア,ⒸSPAIA


☆前走クラス
勝ち馬が出ているのは前走で重賞を走っていた組だけ。特に前走GⅠ組の活躍が目立っている。

出走馬の前走クラス,ⒸSPAIA


☆主な前走
レース別ではトライアルでもあるニュージーランドトロフィー(NZT)が6勝、2、3着馬も3頭ずつ出ている。ただ、出走頭数もほかのレースに比べると多く、特別に率が高いわけではない。また、牝馬の勝ち馬2頭はともに前走桜花賞で掲示板に載っていた馬だった。

出走馬の主な前走,ⒸSPAIA


☆前走着順
前走着順を見ると、掲示板に載っているか、そうでないかで明暗が分かれる。前走が6着以下で勝利したのは、2013年マイネルホウオウ(前走NZT7着)だけだった。

出走馬の前走着順,ⒸSPAIA


☆前走馬体重
前走馬体重を比べると、面白い傾向が出ている。前走馬体重が450kg以下、もしくは510kg以上だった馬からは勝ち馬が出ていない。連対率も前者が2.2%、後者は4.5%。大きすぎず、小さすぎずが理想のようだ。

前走馬体重,ⒸSPAIA


☆その他
その他で気になったデータを挙げていく。まずは前走人気だが、1番人気に支持されていた馬の好走率が、他と比べて高くなっている。また、前走0.8秒差以上で負け、中1週で出走、そして1月生まれの馬からは勝ち馬が出ていない。

その他のデータ,ⒸSPAIA


前走1番人気馬が強い

NHKマイルCのデータをまとめてみよう。

【好走率アップ】
A「キャリア3戦or6戦」
B「前走桜花賞で掲示板内」
C「前走1番人気」

【好走率ダウン】
D「キャリア7戦以上」
E「前走6着以下」

【勝ち馬なし】
F「前走馬体重450kg以下or510kg以上」
G「前走0.8秒以上差で負け」
H「1月生まれ」

【連対馬なし】
I「キャリア2戦」

今回はプラスデータが3つ。アスコリピチェーノ、ディスペランツァ、ノーブルロジャー、ボンドガールの4頭が、2つのプラスデータに該当した。このうち、ディスペランツァはF「前走馬体重510kg以上」、ノーブルロジャーはG「前走0.8秒以上差で負け」、そしてボンドガールはF「前走馬体重450kg以下」とH「1月生まれ」のマイナスデータに該当。

マイナスデータを持たないアスコリピチェーノは桜花賞2着馬。桜花賞2着からNHKマイルCへ挑んだ馬といえば、2020年レシステンシアと同じ。加えて、互いに阪神JF勝ち馬でもあった。データ的な観点からも、連は外さないだろうと見てこの馬に◎を打つ。

相手は上記のプラスデータを2つ持つ3頭。まず、マイナスデータ2つのボンドガールは4番手。ディスペランツァとノーブルロジャーのどちらを上に取るかだが、ディスペランツァが引っ掛かるF「前走馬体重510kg以上」は、22頭が該当して馬券絡みは1頭(2012年2着アルフレード)だけ。一方、ノーブルロジャーのG「前走0.8秒以上差で負け」は、70頭が該当して2着が3頭、3着が4頭いる。連対率はほぼ変わらないが複勝率では後者が上回る。よって、ノーブルロジャーが2番手、ディスペランツァを3番手とする。

プラスデータC「前走1番人気」は、過去15年で7勝、複勝率34.2%と好成績で印をつけた4頭はいずれも該当。その他登録馬では、エポックヴィーナスだけだった。しかし、同馬は出走決定順が21番目タイで除外対象。というわけで、今回はこの4頭で決着する可能性が高いと結論付けたい。

◎アスコリピチェーノ
◯ノーブルロジャー
▲ディスペランツァ
△ボンドガール

《ライタープロフィール》
門田 光生(かどた みつお)
競馬専門紙「競馬ニホン」で調教班として20年以上在籍。本社予想などを担当し、編集部チーフも兼任。現在、サンケイスポーツにて園田・姫路競馬を中心に予想・記事を執筆中。
以前働いていた会社では、入社2年目から血統を担当していました。当時は2代目ですら知らない名前が並んでいたのが、今は3代、4代にもリアルタイムで走っていた馬が出てきますし、海外の著名種牡馬は、綴りを間違わず書けるようになりました。長く携わっているのだなあ、と実感がわく瞬間ですね。

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