世界国・地域別対抗戦トマス杯、ユーバー杯(中国・成都)に出場した男女の日本代表が6日、成田空港に帰国した。トマス杯に出場した男子は1次リーグを3戦全勝で突破したが、準々決勝でマレーシアに1―3で敗れてメダルを逃した。

 この大会で日本代表から引退した桃田賢斗(29=NTT東日本)は1次リーグ3試合に出場し3戦全勝。準々決勝はプレーすることなく終わったが「3勝してチームに貢献できたのはうれしかった。コンディションが良かったので、楽しく試合ができた。みんなと優勝したかったけど、それ以上のものをもらえたので充実したトマス杯だった」と晴れやかな表情で話した。

 準々決勝マレーシア戦は、5番手の第3シングルスで登場予定だったが、1勝2敗で迎えた第2ダブルスで日本ペアが敗れてチームの敗退が決まった。「終わってしまったかという感じで、今までみんなと過ごした時間を思い返して、泣きそうになったけど、めっちゃこらえた」とその瞬間に沸き上がった率直な感情を明かした。

 試合に出場していない時間はチームメートの応援に声を張り上げた。「ネガティブな気持ちで試合をするのはやめようと思っていた。応援も全力でやろうと。それで喉を壊してしまった。それくらい頑張れた証。やり残したことはない」とかすれた声で笑った。

 14年日本代表に初選出され、18年の世界選手権で日本男子として初優勝。19年には世界選手権で連覇を達成し、ワールドツアーで年間11勝し、ギネス世界記録にも認定された。不祥事による出場停止や交通事故による負傷も経験した。リオ、東京と2度出場した五輪でのメダル獲得はならなかったが、約10年に渡り日本代表を引っ張ってきた。

 山あり谷ありの道のりを「長かったと言えば長かったけど、短くも感じる10年だった。これからの日本代表の人たちには中身の濃い1日を過ごし、後悔のない競技人生にしてもらいたい」としみじみ振り返った。

 トマス杯の会場ではしのぎを削ってきた海外の選手から「お疲れ様」と声を掛けられ、記念写真も求められた。「僕もそういう選手に仲間入りできていたんだなとうれしかった」とうなずいた。

 パリ五輪に出場する後輩たちに向けては「出たい人がたくさんる中で、出場権を手にした選手たちは誇りに思って、自分の持っているものを全部出し切って観客を魅了してもらいたい」とエールを送った。