◇ナ・リーグ ドジャース6−3マーリンズ(2024年5月6日 ロサンゼルス)

 ドジャースの大谷翔平投手(29)は6日(日本時間7日)、マーリンズ戦で今季初、通算7度目の3試合連発となる11号2ランを放ち、本塁打数でも両リーグ単独トップに立った。2安打2打点、2盗塁で5連勝に貢献。開幕37試合で打率・370、長打25以上は162試合制となった61年以降では6人目で、唯一過去2度達成したウィリー・メイズ氏の93歳の誕生日に、「コンプリート・プレーヤー」の後継者たるべく躍動した。

 サイ・ヤング賞3度の左腕カーショーが中継に生出演し、「けたたましい」と驚いた打球音が鳴り響いた。2点先制され迎えた初回無死一塁。24歳の新人右腕ムニョスの外角高め96・1マイル(約155キロ)直球を大谷が豪快に持っていった。両リーグ単独トップに立つ11号同点2ランがバックスクリーンで弾んだ。

 前日に続く飛距離441フィート(約134・4メートル)の特大弾で、3戦4発の固め打ち。パワーだけじゃない。4回に3試合連続マルチ安打となる右前打を放つと二盗に成功。四球で出塁した6回も二塁を陥れ、今季2度目の1試合2盗塁もマーク。デーブ・ロバーツ監督は「ストライクゾーンを見極められている結果だ。相手がゾーンで勝負してきたら、彼は打つ。そこが徹底できている」と解説した。

 MLB史上最高の「コンプリート・プレーヤー」の姿がかぶった。この日はメイズ氏93歳の誕生日。大谷はともに両リーグトップの打率・370、26長打だが、開幕37試合時点でこの基準を満たした選手は61年以降、過去5人しかいない。唯一2度達成したメイズ氏は、通算660本塁打と338盗塁で、本塁打王と盗塁王は4度ずつ。54年ワールドシリーズの「ザ・キャッチ」と語り継がれる背走捕球など中堅守備も絶品で走攻守全てにおいてトップに君臨した。

 試合前にMLBネットワークの番組にベッツと生出演した大谷は、「メジャーで1週間遊撃手としてプレーできますか?」と問われると「絶対無理です」と返答。正遊撃手のベッツやスタジオを爆笑させた。投球が恋しいか?との問いには「恋しさもありながらも、もうちょっとバッターに集中してみたい気持ちも多少あります」と心境を明かした。本塁打はシーズン48発ペースとなり、盗塁も39盗塁ペース。27打点はリーグ3位に浮上した。過去5人しかいない40発&40盗塁や、3冠王も視野に入る勢いだ。

 右肘手術の影響で野手専念の今季はゴールドグラブ賞は獲れないが、来季以降はメイズもできなかった「投げる」ことも解禁される。米老舗メディア「スポーティング・ニューズ」はメイズを60年代の最も優れた選手と認定しているが、ここまで20年代で最も優れた選手こそ大谷。全てにおいて完璧な「シン・コンプリート・プレーヤー」への歩みは、もう誰にも止められない。(奥田 秀樹通信員)

 ◇ウィリー・メイズ 1931年5月6日生まれ、米アラバマ州ウエストフィールド出身の93歳。50年にジャイアンツと契約。51年5月25日フィリーズ戦でメジャーデビューし、同年の新人王を獲得。通算660本塁打は歴代6位で、3283安打は同13位。57年から12年連続でゴールドグラブ賞を受賞し、球宴には54〜73年に20年連続選出された。73年にメッツで現役引退。ジ軍、メ軍での背番号24はいずれも永久欠番。79年に野球殿堂入り。バリー・ボンズの名付け親としても知られる。右投げ右打ち。

 ≪27球団目マーリンズから1号≫マーリンズからは初アーチで27球団目。残る本塁打なしの球団はフィリーズ、カージナルス、エンゼルス。

 ≪3戦連発は7度目≫大谷の3試合連発は昨年7月15〜17日以来、7度目。4試合連発はない。他に日本選手では松井秀喜が2度3試合連発を記録した。

 ≪1試合2盗塁は通算9度目≫大谷の1試合2盗塁は3日ブレーブス戦以来で、通算9度目。盗塁成功率は10割をキープした。