◇春季高校野球奈良大会決勝 天理18―6橿原(2024年5月12日 佐藤薬品スタジアム)

 今年1月に藤原忠理監督が就任した新生・天理が、2011年以来13年ぶりに春季奈良大会を制した。天理は25日から兵庫県明石市の明石トーカロ球場で開催される近畿地区大会に出場する。

 初回から天理打線が橿原先発・上西虎次郎(3年)に襲いかかった。まずは1死一、二塁から4番・松本大和(3年)が右翼線2点二塁打を放ち、あっという間に先制。そこから1死一、三塁とすると、6番・大谷汰一(3年)が右越え3ランを放った。さらに相手守備の失策で1点を追加し、なおも1死三塁として橿原ベンチに投手交代を余儀なくさせた。その後も攻撃の手を緩めることなく、スコアボードの1回裏に「9」を記した。

 “天理のオオタニサン”は続く2回にも格の違いを見せつけた。4点を追加し、なおも2死一、二塁で、6番・大谷が今度は中堅右に3ラン。この回も7点を追加するなど3回までに18得点を奪い、橿原を圧倒した。1メートル84、83キロと体格に恵まれた左投げ左打ちの大型スラッガーは「1本目はあまり感触が良くなかったですが、2本目はしっかりと打てたと思います」と振り返った。

 初指揮を執った公式戦で初優勝を果たした藤原監督は「やっぱり高校野球は難しいですね。この優勝で、選手たちは第1段階の自信を手にすることができた。夏に向けてプラスになると思います」と話した。天理OBで、奈良産大(現奈良学園大)、ニコニコドーでプレーした後、奈良産大の助監督、監督をへて14年から天理大を指揮。チームを11度の阪神大学野球リーグ優勝に導き、広島・森浦、ロッテ・友杉らをプロに輩出した手腕を、高校野球監督として迎えた初の公式戦でも発揮した。