錦織圭、2021年全米以来997日ぶりにグランドスラム白星
現地5月26日、今年2つ目のグランドスラムとなる「全仏オープン」(フランス・パリ)の男子シングルス1回戦が行われ、錦織圭(ユニクロ/世界ランク350位)は、予選から勝ち上がってきたガブリエル・ディアロ(カナダ/同166位)と対戦。7-5、7-6(3)、3-6、1-6、7-5のフルセットで下して2021年全米オープン以来、約2年9ヵ月ぶりにグランドスラムで勝利を挙げて2回戦に進んだ。



34歳の錦織は、昨年6月に股関節手術などの怪我から約1年8ヵ月ぶりにコートに戻ってきたものの左膝を負傷し離脱。今年3月の「マイアミ・オープン」(アメリカ・マイアミ/ATPマスターズ1000)で8ヵ月ぶりに復帰したが、同大会で1回戦敗退後は欠場が続き、ぶっつけ本番で今大会を迎えている。

これまで11度出場し、最高成績は2015、2017、2019年のベスト8となっている全仏オープン。今回はけがによる長期離脱によるプロテクトランキング48位を利用してのエントリーし、3年ぶりの出場となった。

初戦の相手は、身長203センチのディアロ。予選3試合をすべてフルセットで勝ち上がり、今大会がグランドスラム本戦デビュー戦となる。2ヵ月半ぶりの実戦となった錦織は、相手を観察しボールの感触を確かめるようにプレー。第4ゲームでミスやダブルフォールトが出て、先にブレークされてしまったが、苦戦していたディアロの210km/hを超えるフラットサーブや回転重視のサーブに対応し始めると、錦織らしい躍動感のあるプレーを披露する。第9ゲームをブレークし追いつき、その後もミスを引き出すラリーを展開し第11ゲームも破って、7-5で第1セットを奪った。

ラリー戦では錦織に分がある中、リターンを確実に返球していき、第2セットも第1ゲームでブレークスタート。勢いに乗りたいところだったが、積極な攻撃を見せるディアロを前にミスが重なってブレークバックを許してリードを守り切れない。その後、両者1度ずつブレークしてタイブレークへ。勝負所で強さを発揮した錦織がディアロを一気に突き放して7-6(3)でセットを連取した。

2セットアップとし余裕が生まれた錦織は、第3セットでリターンダッシュやネットプレーなどの変化を加えながらプレー。しかし、互いにサービスキープが続いた第6ゲームでは自ら攻めて握ったチャンスを逃すと、集中力を欠いた直後の第7ゲームをラブゲームでブレークされる。第9ゲームもキープできずに3-6でセットを失ってしまった。

第3セット後半には疲れも見えてきた錦織。フィジカル面で不安があるだけに相手を勢いづかせたくない大事な第4セット第1ゲームで2度のブレークポイントを逃すと、息を吹き返したディアロに押される。すべてのプレーが噛み合い、高いレベルを続けるディアロが第4、第6ゲームをブレークし5ゲームを連取。試合は最終セットにもつれた。

錦織は最終セット前にメディカル・タイムアウトを取り、腰からでん部にかけてマッサージを受けて最終セットへ。2セットダウンから巻き返して勢いに乗るディアロが、強打で錦織を押し込み最初のゲームでブレークする。5セットマッチで強さを見せる錦織は、直後にタフな状態の中で粘り強くラリーを組み立てブレークバック。最後の力を振り絞り、しぶとく戦って6-5の第12ゲームで遂にブレーク。4時間22分の激闘を制して、2回戦進出を果たした。

2021年全米オープン以来、997日ぶりにグランドスラムで勝利を挙げた錦織は、2回戦で第15シードのベン・シェルトン(アメリカ/同15位)とヒューゴ・ガストン(フランス/同88位)の勝者と対戦する。

著者:Tennis Classic 編集部