5月6日(日本時間7日、日付は以下同)、NBAは、2023−24シーズンの最優秀新人賞にサンアントニオ・スパーズのヴィクター・ウェンバンヤマが選ばれたことを発表した。

 フランス出身選手として初の新人王に輝いたウェンバンヤマは、224㎝のサイズと240㎝のウイングスパンを誇り、巧みなボールハンドリングや広いシュートレンジも併せ持つ注目ルーキーとしてNBAデビュー。

 初年度は71試合の出場で平均29.7分、21.4点、10.6リバウンド、3.9アシスト、1.2スティール、3.6ブロックをマーク。得点とリバウンド、ブロックでルーキー中トップの数字を残したほか、スティールで2位、アシストでも4位にランク。さらに1985−86シーズンのマヌート・ボル以来初の新人でブロック王に輝いた。

 アウォード発表後、『TNT』のインタビューに応じた20歳は「僕のゴールはベストを尽くして常に自分のチームを助けること、そして時間を重ねるごとにうまくなっていくことだった」とルーキーシーズンを振り返り、こう続けていた。

「新人王を勝ち獲るために、僕はコート上で良い選手となって(ゲームを)支配しなければいけないと確信していた。だから選ばれたことは僕にとってすごく大きなこと。それが本当に重要なことだったから、ようやくオフィシャルになって嬉しいよ」

 スパーズの選手で新人王に輝いたのは、1989−90シーズンのデイビッド・ロビンソン、1997−98シーズンのティム・ダンカンに次いでウェンバンヤマが史上3人目。さらに99人の投票者全員から5ポイントが加算される1位票を獲得して495ポイントで満場一致の選出となった。これは2015−16シーズンのカール・アンソニー・タウンズ(ミネソタ・ティンバーウルブズ)以来、NBA史上6人目の快挙となった。
  ウェンバンヤマは平均出場時間が30分未満だったものの、20点、10リバウンド、3ブロック以上を記録するNBA史上初の快挙を達成。さらに、1シーズンで1500得点、700リバウンド、250アシスト、250ブロック、3ポイント100本成功をクリアしたNBA史上初の選手にもなっている。

 なお、ウェンバンヤマは7日に発表予定の最優秀守備選手賞(DPOY)の最終候補にも入っている。残る2人はオールディフェンシブチームの常連であるルディ・ゴベア(ミネソタ・ティンバーウルブズ)とバム・アデバヨ(マイアミ・ヒート)だが、ウェンバンヤマがすでにNBAで脅威のショットブロッカーとなっていることは事実。仮に落選しても、ルーキーで初のオールディフェンシブ1stチーム入りの可能性は十分ある。

 とはいえ、今夏にフランス代表の一員としてパリオリンピック出場も控える男が満足することはなく、今後はフィジカル面の強化を進めていくという。

「フィジカル面で言えば、鍛え上げていくことに終わりなんてない。僕には自分の身体を鍛えて準備するという数か月間にわたるプランがあった。これからも僕は自分の肉体を鍛えて、うまくなるための新たな方法を発見し続けていく。バスケットボールで、僕にはたくさん磨いていきたいことがあるんだ」

 今季スパーズはウエスタン・カンファレンス14位の22勝60敗(勝率26.8%)と低迷。過去に5度の優勝を果たした名門だが、近年は5シーズン連続でプレーオフから遠ざかっている。

 それでも今季ラストの11戦で7勝をあげたようにチームのポテンシャルは高い。ウェンバンヤマを中心とした布陣で、来季以降にスパーズがどのように白星を重ねていくか注目だ。

文●秋山裕之(フリーライター)

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