バルセロナのストライカー、ロベルト・レバンドフスキに放出の噂が浮上している。今シーズンもチーム最多の公式戦26得点(ラ・リーガは19得点)を記録するなど、重要な戦力であり続けていたが、問題視されているのは年俸だ。

 2022年夏に4年契約を結んだレバンドフスキの年俸はやや特殊で、スペイン紙『SPORT』によると、加入1年目は2000万ユーロ(約34億円)、2年目は2600万ユーロ(約44億円)、3年目は3200万ユーロ(約54億万円)と上昇し、37歳で迎える4年目で2600万ユーロに下がる変動型の契約形態となっている。さらに同紙は、「3年目のシーズンにレバンドフスキの出場時間が全体の55%に達しなかった場合、クラブが契約を解除できるオプションが付帯している」とも伝えている。そして、来シーズンがその3年目となる。

 高額年俸と35歳という年齢(今年8月で36歳)がネックとなり、クラブは今夏の放出を望んでいる。シャビ監督の去就騒動でもそうだったが、ジョアン・ラポルタ会長は意図的に情報をリークして、メディアを操作することを常套手段にしており、お抱えの記者を介して、“レバンドフスキ不要論”を煽っている。

 しかし、もちろんこの特殊な契約を結んだのはクラブだ。当時は数年後、財政が好転することを想定していたのだろう。そうならなかったのは、見通しが甘かったからに他ならない。シャビエル・ボッシュ記者もスペイン紙『MUNDO DEPORTIVO』のコラムで、「シーズンごとに年俸が上昇する契約を提案したのはクラブ側であり、その給与形態に縛られたくないからと契約解除を望むのはあまりに勝手すぎる」と苦言を呈している。
  一方のレバンドフスキは、同じ『MUNDO DEPORTIVO』のインタビューで「来シーズンもバルサでプレーすることを確信している」と答えている。これ以上の明確な意思表示はなく、しかもエース放出もやむなしとの考えだったシャビが5月24日に解任され、後任にはバイエルン時代に指導を受けたハンジ・フリックの就任が確実視されている。

『エル・パイス』紙によれば、「フリックとレバンドフスキは今も良好な関係を築き、今回の監督就任の話に際しても、フリックとバルサの仲介役を最初に買って出たのはレバンドフスキだった」という。シャビは最後の5試合(34節〜38節)でレバンドフスキに途中交代を命じていたが、監督が変われば、選手の立ち位置も変わるもの。新監督の強力な後ろ盾を得られれば、レバンドフスキが今夏、バルサを出て行く可能性は低くなるだろう。

 今後フロントがあの手この手で圧力をかけてくることが予想されるが、はたしてレバンドフスキは、来シーズンも青とエンジのシャツを身にまとっているのだろうか。

文●下村正幸

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