俳優の東出昌大が5月22日、都内で行われた「第33回日本映画批評家大賞授賞式」に出席。映画「Winny」で主演男優賞を授賞し、その喜びを語った。

■東出昌大「お芝居ってなんだろう?と考え続けている」

日本映画批評家大賞は、「映画批評家による、批評家だけの視点で選出する、他に類をみない映画賞」として、この上ない愛情を邦画に注ぐ映画批評家たちが作り上げた歴史ある映画賞。

「Winny」は、ファイル共有ソフト「Winny」の開発者が逮捕され、著作権法違反ほう助の罪の問われた裁判で無罪を勝ち取った一連の事件を東出主演で映画化。東出は受賞を「大変うれしく思います」と喜び「映画の現場を初めて経験したのが22歳の時で、それから14年が経って、演じるとかお芝居ってなんだろう?と考え続けている」と告白。

今もその問いは消えないと言い「僕の場合は、役者の仕事って何が映画にとって必要なんだろうと思うと、地味な準備なんです。せりふを覚えるとか、体型を変えるとか、人に見られないところでの準備ということが現場に行ったときに生きる唯一の要素」と自身の考えを明かした。

■今後も「いい映画の現場に戻ってこられたら」

東出は「役者をどうやったら続けていけるだろう」と日々考え続けるが、なかなか答えがないと明かし「これさえやればいい芝居ができる、みたいな方程式がなくて。準備以外には根拠のない自信しかなくて」とコメント。根拠のない自信がいきすぎてしまうと過信になってしまうとも口にし「芸能人であると言われる声にあぐらをかいて奢りが生まれたりすると、そんな人間が市井の人を演じるなんてできない」と持論を語った。

東出は「日々根拠のない自信を持ちながら、また今後も地味な準備を怠らずに、いい映画の現場に戻ってこられたらなと思います」と思いを口にした。

■受賞一覧

作品賞:「ほかげ」(塚本晋也監督)
監督賞:荻上直子監督「波紋」
主演男優賞:東出昌大「Winny」
主演女優賞:筒井真理子「波紋」
助演男優賞:磯村勇斗「月」
助演女優賞:新垣結衣「正欲」

ドキュメンタリー賞:「ライフ・イズ・クライミング!」(中原想吉監督)
アニメーション作品賞:映画「窓ぎわのトットちゃん」(八鍬新之介監督)
新人監督賞:金子由里奈監督「ぬいぐるみとしゃべる人はやさしい」、工藤将亮監督「遠いところ」
新人男優賞:アフロ「さよなら ほやマン」、黒崎煌代「さよなら ほやマン」
新人女優賞:花瀬琴音「遠いところ」

脚本賞:上田誠「リバー、流れないでよ」
編集賞(浦岡敬一賞):今井大介「#マンホール」
撮影賞:芦澤明子「スイート・マイホーム」
松永文庫賞(特別賞):八丁座
ゴールデン・グローリー賞(水野晴郎賞):木野花「バカ塗りの娘」
ダイヤモンド大賞(淀川長治賞):小林薫「バカ塗りの娘」

※塚本晋也監督の「塚」は旧字体が正式表記

◆取材・文=山田果奈映