川口春奈主演の金曜ドラマ「9ボーダー」(毎週金曜夜10:00-10:54、TBS系) の第6話が5月24日に放送。失踪していた父・五郎(高橋克実)が連れ帰った謎の少年(齋藤潤)の正体が明かされた。(以下、ネタバレを含みます)

■“ボーダー世代3姉妹”の奮闘を描く

同ドラマは、「LOVE」「LIFE」「LIMIT」の“3L”をテーマに、19歳、29歳、39歳と、いわゆる大台を迎える前のラストイヤー=9ボーダー真っただ中の3姉妹が、モヤモヤや焦りを抱え、幸せになりたいともがきながら人生を前向きに進んでいく姿を完全オリジナルで描くヒューマンラブストーリー。

主人公の29歳の次女・大庭七苗(なな)を川口、39歳の長女・成澤六月(むつき)を木南晴夏、19歳の三女・大庭八海(はつみ)を畑芽育が演じる。

また、3姉妹の“3L”に大きく関わる人物として、物語のキーマンとなるコウタロウを松下洸平、六月が所長を務める会計事務所にやってくる自由奔放な新人公認会計士・松嶋朔を井之脇海、七苗と同い年で幼なじみの高木陽太を木戸大聖が扮(ふん)する。

■謎の少年が大庭家を揺るがす

七苗たちが家業の銭湯・おおば湯のリニューアル計画に向けて動き出そうとしたなか、失踪していた父・五郎が帰って来た。おおば湯の経営難をなんとかするために全国の銭湯を巡ってヒントを探していたというが、その旅先で出会った銭湯に興味がある少年を働かせたいと連れて。

時に暴言のようなことも吐く少年を「生意気」と七苗。だが、コウタロウは「でも、なんか寂しそう…」と言った。

やがて、その理由が明らかに。彼の名前は、品川九吾。父と母が離婚した後に生まれた、七苗たちの弟だった。

品川は、母・みどり(堀内敬子)の旧姓。家を出たみどりは長野の実家に戻っていたが、3年前に心臓を悪くして亡くなった。その後、共に暮らしていた祖母も亡くなって1人になり、五郎が会いに行ったのだ。

何も知らせずに振り回すばかりの父に怒る八海。そして、七苗たちは母が自分たちを捨てた、九吾は母と自分を父が捨てたという思いがあった。

■“弟”登場で、七苗たち三姉妹の家族の物語にも期待

しかし、六月と七苗には後悔があった。六月は父母がけんかばかりの日々に嫌気がさして、七苗たちの面倒を見ずに逃げるように海外に出てしまったのだ。一方、七苗は母が家を出ようとするとき、「一緒に来るか」と聞かれたが、すぐ帰ってくると思っていたから「行かない、八海とここにいる」と答えていた。

そんな中で迎えた八海の誕生日。コウタロウ、松嶋、陽太も集まり、誕生日パーティーが開かれた。そこで五郎は七苗たちに謝罪し、七苗や六月も後悔している思いを打ち明け、それをひそかに聞いていた九吾はいったん長野に戻って今後を考えると告げた。

大庭家を揺るがした出来事だったが、一つにしたのは五郎がパーティー用に作ったちらしずし。みどりが書き残していたレシピノートを基に再現したちらしずしは、七苗と六月だけでなく、九吾にとっても懐かしい母の味だった。そして料理の勉強を始めた八海にとってレシピノートは大切なものになるはずだ。

これまで恋や夢、仕事が描かれてきた中で、九吾の登場によって“家族”の人間ドラマとしても見応えが増していくだろう。

九吾を演じる齋藤は、2019年デビューでまだ新星ともいえる16歳。ドラマ「トリリオンゲーム」(2023年、TBS系)で主人公の中学時代役など活躍してきたなか、メインキャストに抜擢されて綾野剛と共演した2024年公開の映画「カラオケ行こ!」での真面目だけど毒舌な中学生の役でブレイクしたばかり。同ドラマでは揺れる胸の内を繊細に表現していた。そのフレッシュな輝きで、七苗たちと関係をどうつむいでいくのか、期待したい。

◆文=ザテレビジョンドラマ部