大相撲夏場所(12日初日、東京・両国国技館)を控えた2日、横綱審議委員会による稽古総見が国技館で一般公開され、約2500人のファンが詰めかけた。横綱照ノ富士(伊勢ヶ浜)が稽古を回避する一方で、琴ノ若改め琴桜(佐渡ヶ嶽)ら4大関が申し合い稽古を敢行。そこに新小結大の里(二所ノ関)も加わり、観客をわかせた。

 ただ、日本相撲協会の八角理事長(元横綱北勝海)の目には物足りなく映ったようで「ピリッとした感じがしなかった。横綱がいないというのもあるけど、全体的に緊張感がなかった。稽古場は修行の場。気合を入れてやってほしい」と苦言を呈した。

 さらに、大関2場所目の琴桜には「強くなっていると思うけど、上(横綱)に上がるためには相手を圧倒するものを出してほしかった」。急成長を続ける大の里にも「この一番では馬力を発揮するが、スタミナがない。上に行くにはスタミナが大事」と、あえて厳しく注文をつけた。

 土俵では、照ノ富士に代わる新たな横綱候補の育成が急務。そのためには全体のレベルアップが欠かせない。協会トップの辛口評価は、強い危機感の表れとも言えそうだ。