驚異の感覚だ! フィギュアスケートのアイスショー「ファンタジー・オン・アイス」の千葉・幕張公演が、24〜26日に開催された。フィギュアスケート男子で五輪2連覇を果たしたプロスケーター・羽生結弦(29)は、切れ味抜群の演技で満員の観客を魅了。そんなパフォーマンスの裏には、関係者も驚く繊細さが隠されていた。

 主役にふさわしい存在感だった。同公演でおなじみのコラボレーション企画では、T.M.Revolutionこと歌手・西川貴教との共演が実現。プロとしての成熟度は高まるばかりだ。

 そんな羽生は、アドバイザリー契約を結ぶファイテン社が製造する5本指の靴下をジュニア時代から愛用。同社の担当者は「初めて金メダルを獲得した(2014年)ソチ五輪の前からさまざまなソックスを試された中で、弊社の5本指ソックスが最もフィーリングが合ったそうです」。ただ同製品は、その後に販売が終了。それでも同社は本人の依頼で特別に製造を続けた。その際に一度異なる工場で製造されたサンプルを渡したところ、羽生は変化を察知したという。

 同担当者は「羽生選手はソックスを手洗いされているみたいで、乾かした時に『あれ、なんか変わりました?』って言われました。糸は同じだったのですが、どうやら編み方が違ったみたい。僕らから見ると一緒ですが、元の工場でつくったサンプルをお渡ししたら『これです!』と納得されていたので、私たちにはわからない部分の感覚だなと思いました」と明かした。

 研ぎ澄まされた感性が、唯一無二の表現者である証し。直近では同社協力のもとで、新たな5本指の靴下を開発。和紙を使用することで、耐久性と軽さの両方を兼ね備えた構造を実現させた。今後本格的に使用していく羽生は「スケーターの中には、はだしで滑る人も多いのですが、薄い紙の素材というのはそれに近い感覚かもしれないです」と語っている。