2月に亡くなった世界的指揮者の小澤征爾さん(享年88)が総監督を務めてきた音楽祭「セイジ・オザワ松本フェスティバル」(OMF)が8月から約1カ月間、長野県松本市で開かれる。今年はOMFの演奏を担うサイトウ・キネン・オーケストラ(SKO)の結成から40年の節目。小澤さんの直々の指名で今年2月に首席客演指揮者に就任した青森市出身の沖澤のどかさん(37)が13日、都内で記者会見し、小澤さんへの思いや意気込みを語った。

 「太陽のような、絶対的な存在だった」。沖澤さんは小澤さんの印象をこう語った。小澤さんと初めて会ったのは2022年に初出演したOMF。「小さな頃から憧れていて、初めて会った時はとても緊張していた。当時まだ生後半年だった娘が小澤さんの髪の毛を引っ張ったら、小澤さんが笑ってくれて。一気に緊張がほぐれて娘に助けられた気分だった」と思い出を語った。

 SKOは小澤さんの恩師である齋藤秀雄さんの没後10年に当たる1984年のメモリアルコンサートが礎となった。音楽好きの伯父の影響で小さな頃からSKOのCDを聴いて育ったという沖澤さん。首席客演指揮者という立場に責任を感じつつも、「これまでの音にとらわれずSKOを発展させていきたい」と意欲を見せた。

 小澤さんが亡くなってから初の開催となる今年のOMFに向け、沖澤さんは「今年の夏は会えると思い楽しみにしていた。今後も小澤さんがずっと総監督であることに変わりはない。どこかで小澤さんが聴いてくれていると願い、何としてでも成功させなければ」と語った。

 沖澤さんは8月初旬に松本入り。同10、11日にオーケストラコンサート、同25日にはプッチーニのオペラ「ジャンニ・スキッキ」の公演を予定している。

 OMFは齋藤さんの名を冠した「サイトウ・キネン・フェスティバル松本」として1992年に始まり、2015年に現在の名称に変更された。今年のOMFは8月9日〜9月4日に開催される。チケットはOMFのウェブサイトや各プレイガイドで販売中。