相模原市は5月14日、閉校が計画されている青葉小学校の跡地利用の考えをまとめた「光が丘地区学校跡施設利活用事業の今後の方針について」を公表した。療育センターと保育園を整備するほか、光が丘公民館を移転する方針も示した。公民館の運営に関わる市民らからは「これまでの議論の経過はどう生かされたのか」と計画決定のプロセスに対して釈然としないという声もあがっている。

昨年末に決定

市が今回、打ち出した取組の方向性は昨年12月に市長をトップとする庁内の戦略会議で決定した内容を踏まえたもの。現在、同校に隣接する光が丘公民館を跡地に移転する方針を盛り込んだ。同校B棟を解体し、「公民館機能」「地域・子ども活動機能」「青葉児童館の機能」に必要な建物を新築する考え。A棟とC棟は療育センター(陽光園)と保育園などとして活用し、未利用となる土地は売却して事業の財源に充てるとしている。

市は戦略会議後、決定内容を地元の自治会やまちづくり会議、各施設の運営協議会など地元の関係団体の代表者に伝えていたが、広く市民に取組の方向性を発表するのは今回が初めて。

前提なしに議論

光が丘地区の公共施設の再編を巡っては、相模原市が2021年8月に青葉小学校を25年4月をめどに閉校し、光が丘・陽光台・並木の3小学校に再編する方針を打ち出した。青葉小学校の跡地利用は21年11月に市民対話ワークショップを開催して以来、市民検討会やアンケート調査などを重ねながら、地元の自治会や住民団体・組織、公募市民など地元住民らと行政が議論を進めてきた。

市は、光が丘地区について「療育センター陽光園、陽光台保育園など子どもに関する地区内の公共施設の多くが築40年以上を経過し、建て替えを検討する時期。その中で今後閉校予定の青葉小学校の学校跡施設を『避難所としても使える、子どもや地域の活動の場』を基本とした利活用を検討する」としており、これまでの議論では光が丘公民館の移転は前提条件とはしてこなかった。

市は24年度内に公民館関係者を中心とした市民検討組織を交えて複合施設の整備内容を検討し、療育センターなどの整備内容を精査するとしている。25年度以降に基本計画の策定に着手する計画。

光が丘公民館運営協議会の西本敬議長は「今回の方針に反対という訳ではなく、フラットな立ち位置ではある」とした上で「公民館の移転の話は後から出てきた。どういう形にせよ2年間で8回にわたって、前提条件なしで検討を進め、議論を重ねてきた。移転は後だしジャンケンのようで議論のプロセスとしてはおかしいのではないか。これまでの議論の経過を咀嚼した形で、いい結果につながってほしい」と話している。