赤いボディカラーが進化型のRZ“High performance”6速度MT、白い方は進化型のDATモデル 赤いボディカラーが進化型のRZ“High performance”6速度MT、白い方は進化型のDATモデル(写真:トヨタ自動車)

続いて進化型のRZ“High performance”6速MT(498万円)に乗り換える。違いは走り出す前、アイドリング時のエンジン音から感じた。それもそのはず、搭載エンジンは直列3気筒1.6Lターボエンジン「G16E-GTS」で、従来型とエンジン型式は同じながら大きく手が加えられている。

高燃圧への対応、軽量ピストンの採用、同弁系の強化、エンジンオイルクーラーの多段化、クーリングファンの高出力化などが改良の主なメニューだ。この改良型エンジンは市販モデルとしてGRカローラに先行搭載されていたものと基本は同一だが、GRヤリスではトルク特性が異なりGRカローラよりも最大値が大きい。

最高出力304PSとなったエンジン

従来型と進化型のエンジントルク図 従来型と進化型のエンジントルク図(写真:トヨタ自動車)

具体的に数字で比較する。従来型の最高出力が200kW(272PS)/6500回転、最大トルクは370N・m(37.7kgf・m)/3000〜4600回転であったのに対し、新型の最高出力は224kW(304PS)/6500回転、最大トルクは400N・m(40.8kgf・m)/3250〜4600回転となり、出力/トルクともに大きく向上。ちなみにGRカローラとはトルク値のみ異なり370N・m(37.7kgf・m)/3000〜5550回転と最大値が低く、発生回転領域が広い。

進化型GRヤリスはGRカローラよりも車両重量が190kg軽い(1280kg)が、ファイナルギヤのギヤ比率を若干小さくすることで加速特性を最適化した。加えて、トヨタが「GR-FOUR」と呼ぶ高応答電子制御カップリング(前後トルク配分を決める電子制御多板クラッチ)は後輪デフの減速比を前輪よりも高める(≒たくさんまわす)ことで回転差を生み出しているが、ここは従来型GRヤリス時代と同じくGRカローラとも同じ値のまま。

肝心の乗り味にも変化があった。今回の改良ではボディ剛性をさらに高め、同時に前後のバネ/ダンパー特性を変更しつつ、ダンパーとボディの締結ボルトを3本に増やして強固にした。こうした数々の改良により車両挙動は若干ながら安定方向になった。

また4WDモードセレクトの前後駆動力配分を見直したことで、ある領域から車体の向きがスパッと変わる従来型の過度な特性がマイルドになった。これも大きな違いだ。

操作系にも見直しが入った。ドライビングポジションを25mm低めてルームミラーの位置をフロントガラス上部へ移動。さらにセンタークラスターの上端を50mm下げた。これにより前方視界が大きく拡大し運転しやすくなった。