「ディスカウントを強化した食品と雑貨が大きく伸長し、その集客効果で医薬品や化粧品も売れている」――。ドラッグストア業界4位・コスモス薬品の横山英昭社長は足元の好調な業績をこう分析する。

「食品強化型ドラッグストア」の業績が絶好調だ。消費財の値上げが相次ぐ中、スーパーよりも安く食品を販売するドラッグストアが支持を集めている。ドラッグストアは粗利率の高い医薬品や化粧品で利益を確保できるため、食品の価格を下げて集客できるのだ。

その代表格が業界大手のコスモス。食品の売り上げ構成比率は約6割と高い。郊外で大型店を展開し、価格攻勢で周辺スーパーの客を奪いながら成長している。

節約志向をがっちりつかむ

コスモスは食品の安売りを強化し客数を伸ばしている。2024年5月期第3四半期(2023年6月〜2024年2月)の売上高は前期比18%増の7153億円と勢いがある。食品の売り上げは前期比22.3%増と好調で、業績を牽引している。

コスモスはこれまで、M&Aではなく自社出店で成長してきた。地元九州から破竹の勢いで北上し、現在は関東や中部の出店を強化中だ。東京や神奈川などの郊外でも店舗網を広げ始めている。

コスモス薬品のチラシも、表面の大半は食品の特売情報で埋め尽くされている(記者撮影)

4月下旬に都内のコスモスの店舗を訪れると、値札に「毎日安い」と書かれた味の素の「ギョーザ」12個が税込み208円、東海漬物の「こくうま熟うま辛キムチ」300gが税込み228円で売られていた。スーパーなどと比較しても、かなり安い価格設定だ。

店内はチルド品やインスタントラーメンのほか、冷凍食品が壁一面のケースにずらりと並ぶ。同じドラッグストアでも、医薬品や化粧品を中心とするウエルシアHDなどとはまったく異なる品ぞろえだ。