「自粛警察」などと呼ばれましたが、「自分はがまんしてルールに従っているのに、ルールに従わないのは許せない」という心理なのだと思います。

人に迷惑をかけないようにする人が多いのと同時に、「人から迷惑をかけられるのは絶対にいやだ」と考える人も増えています。

「寛容な気持ち」を忘れない

「保育所の子どもの声がうるさい」「高齢者がレジでもたもたしていてイライラする。待たされるのはいやだ」というように、自分の都合だけを声高に主張する人もいます。

「まあ、いいや」と少しだけ寛容な気持ちで受け入れられれば、お互いにラクになるはずです。

人から迷惑をかけられるのをいやがる気持ちは、「自分も迷惑をかけるのはいやだから」となって、困っても助けを求めるのをためらってしまうことにつながります。それはとてもさびしい社会ではないでしょうか。

人間は完全な存在ではありません。知らず知らずに迷惑をかけることもあります。迷惑をかける人がいても、もう少し自己主張を控えて、「頑張ってもうまくいかないときもあるさ」「困っているときはお互いさまよ」と柔らかく受け止められるようになるといいですね。

著者:坂東 眞理子