フィビ鳥(@fibi_dori)さんの創作漫画「ハムガールの冒険」は、神様にお願いして「ハムスターのようなほお袋」を持つようになった少女の半生を辿る短編作品。ほお袋を持て余す主人公と、そこに価値を見出してくれた恋人との出会いを描く……と思いきや、2人目の恋人はまさかの反政府組織の一員。読者の予想をことごとく裏切るジェットコースターのような展開と、主人公の数奇な運命に、X上で多くの反響を集めた作品だ。

読者から「すごいとしか言えない」「長い夢を見たときに似ている」「どこまでも不思議なお話」と大きな反響を呼んだ同作。少年ジャンプ+で読切「嘘つき大工と神様の木」を発表するなど精力的な作品発表を続ける作者のフィビ鳥さんにインタビューを行い、作品の着想や漫画制作でのこだわりについて語ってもらった。



■現代ものの漫画を描くときは、軽めの絵柄を選ぶことが多い

本作の着想について聞くと、「普段から思いついたことをメモアプリにメモしているのですが、見返していたら“ほお袋のある女”という言葉があり、そこから漫画に起こしました」と本作の誕生秘話を明かした。

読者からは「目まぐるしい展開」という声も多かったが、この点は「出てきたエピソードをつなげました」とコメント。続けて「並べると脈絡みたいなものが見えてきたので、あとはそれに沿ってエピソードを足して、一本の物語にしました」とのこと。

作画で意識したポイントについては、身構えず気軽に読んでほしかったため、絵柄を軽くしたのだとか。「現代ものの漫画を描くときは、軽めの絵柄を選ぶことが多いです」と、漫画家視点での裏話を教えてくれた。

また、本作ではあえて横長のコマを多めに使っているのだそう。「今まで使い方がわかっていなかったんですが、長台詞のときとか、メリハリをつけたいとき役立つことに気づきました。話の内容がごちゃごちゃしているので、重宝するコマ割りでした」と漫画技法についても言及。ジェットコースターのようなストーリーを楽しみつつ、コマ割りについても意識して読んでみよう。



取材協力:フィビ鳥(@fibi_dori)