日本時間15日未明、大谷翔平選手の元通訳、水原一平被告が罪状認否で出廷し、違法賭博事件の発覚後、約2か月ぶりに公の場に姿を見せました。一方の大谷選手はこの日の試合後、記者の取材に「最初の方はいろいろあったので、睡眠が足りていない日が続いていた」などと語りました。

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日本時間15日未明、カメラの前に止まった1台の車から降りてきたのは、水原一平被告です。

NNNロサンゼルス 宮島弘樹記者

「大谷選手へ一言ありますか。コメントをお願いします」

大谷翔平選手の元専属通訳による“違法賭博”を巡る詐欺事件が発覚してから約2か月。初めて、公の場に姿を見せました。

NNNロサンゼルス 宮島弘樹記者

「水原さん一言お願いします」

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現れた場所はアメリカ・ロサンゼルスの裁判所。起訴された罪について、罪状認否が行われるため出廷しました。

NNNロサンゼルス 宮島弘樹記者

「裁判に向けて一言お願いします」

水原被告

「…」

裁判所の中に入るまでの約5分間、「無言」を貫きました。

取材陣の中には「一平、本を書きませんか? みんな、あなたが何を考え、何が起きたのか知りたいです」と声をかける人もいました。

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黒のジャケットに白いシャツ姿で出廷した水原被告。靴や、ジャケットを脱ぎ、ベルトを外して検査を通過すると、法廷へと向かっていきました。

違法な賭博の借金返済のために、大谷選手の口座から無断で1700万ドル、日本円で約26億4000万円あまりを不正に送金した罪などで起訴されている水原被告。法廷で何を語るのか注目されていましたが、裁判所は「安全上の理由」として、報道陣が法廷で傍聴することを認めない異例の対応をとりました。

50人近くの報道陣が署名を集め抗議しましたが、決定は覆らず、報道陣は別室で音声のみで傍聴することに。

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“異例の対応”の中、始まった裁判。

判事

「あなたは起訴状を読んで理解していますか」

水原一平被告

「Yes, ma'am(はい)」

判事

「憲法上の権利である大陪審による起訴の審理を放棄することで良いですか」

水原一平被告

「Yes, ma'am(はい)」

水原被告はいくつかの質問にイエスと答えた後、最後に判事から答弁を求められると…

水原一平被告

「Not guilty(無罪です)」

無罪を主張しました。

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司法取引によって有罪を認めていたはずの水原被告。一転して「ノット・ギルティー」、無罪を主張しましたが、どのような事情があるのでしょうか。

アメリカで活動する国際弁護士に聞きました。

米4州で活動 国際弁護士 吉田大氏

「判事というのは今回、保安判事、連邦判事、2種類の判事が出てきます。これをたとえるなら、医者と看護師の役割と考えてください。医師が出てくる前に、手続き等を看護師さんがするように、1回目の罪状認否は、保安判事“看護師”が淡々とこなしている」

司法取引は、ここでいう“医師”連邦判事と、裁判所、水原氏の3者で合意した時に初めて効力を発揮するため、その段階で有罪を主張するのではないかと、吉田氏は指摘します。

国際弁護士 吉田大氏

「(水原被告の)弁護士は、“医師”(連邦判事)の前に行った時に有罪答弁に切り替えます。それまでは形式的に有罪答弁をしないと。この事件を解決するために、少しでもリスクあることを避けたいと考え、 このような戦略を打って出た可能性」

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裁判での水原被告の様子について、傍聴していた法廷画家はこう話します。

裁判を傍聴 法廷画家

「彼は体を震わせたりといった緊張は見られませんでしたが、 とにかく法廷の中にいたくないようでした。判事が認否を聞くと、水原氏は一瞬ためらって、弁護士が彼に触れるとこう答えました。『Not guilty』(無罪です)」

まっすぐ前を向き、終始落ち着いた様子で、判事の質問に答えていたという水原被告。罪状認否は5分ほどで終了したといいます。

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NNNロサンゼルス 橋本雅之記者

「罪状認否を終えた水原被告が裁判所から出てきました」

「水原さん、大谷さんに一言ありますか」

水原被告

「…」

NNNロサンゼルス 橋本雅之記者

「自分がやったことに対して反省の思いはありますか。水原さん一言お願いします」

水原被告

「…」

先月には、「大谷選手やドジャース、MLB、みずからの家族に謝罪したい」と声明を出していましたが…

NNNロサンゼルス 橋本雅之記者

「水原さん、大谷選手は本当に水原さんを信頼していたと思うが、その信頼を裏切ったことについて一言お願いします」

水原被告

「…」

NNNロサンゼルス 橋本雅之記者

「前回大谷選手に謝罪したいという声明を出していましたが、そのことをご自身の口で、今ここで説明していただけませんか」

水原被告

「…」

硬い表情を崩さないまま、弁護士と車に乗り込み、裁判所を後にしました。

   ◇

日本時間15日の試合後、大谷選手が記者からの質問に答えました。

通訳

「フィールド内外でいろいろと対応しないといけないところがあったと思いますが、それを乗り越えられていると思うが、どう思いますか?」

大谷翔平選手

「最初の方はいろいろあったので、ちょっと睡眠が足りていないなという日が続いてましたけど、最近は時間にもだいぶ余裕が出ているので、いい睡眠をとって、一日一日大事にプレーできているなと」

問題が発覚した時期は、睡眠が足りていない日が続いていたと明らかにしました。記者からはさらに次の質問が。

通訳

「いつからしっかり寝られるようになった?」

大谷翔平選手

「いろいろと物事が進展して、いろいろ新しいことが分かって、自分のやるべきことを出して、物事がいったん解決した段階では、僕の方からやることはなくなったので、その段階でかなと思います」

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数日から数週間以内に再度出廷する見通しだという水原被告。最長で禁錮33年となる可能性もありましたが、司法取引によって量刑は4年9か月から5年11か月程度まで減軽される見方もあります。(元連邦検事エディー・ハウレギ弁護士による)

ただ、刑が軽くなっても、問題点はあると吉田氏は指摘します。

国際弁護士 吉田大氏

「いったん判決が出ると水原氏は巨額の負債を抱える可能性が高い。しかもこれらの負債は支払い義務があるのみならず、これを支払い遅延をした分、支払い遅延金がかかる。非常に金利だけでも、ばく大な金額になる。現実的に全額をすみやかに支払うのは非常に難しい。大谷選手への弁済に行くには、非常に長い道のりがあると考えざるを得ない」

(5月15日放送『news zero』より)