電気代を気にして、家電を使っていないときに電源プラグを抜いている人もいるかもしれません。しかし、中には待機電力がほとんどかかっていない「電源プラグを抜いても意味がない家電」も存在。多くの家庭にあるテレビの場合はどうなのでしょうか。

「All About」デジタル・家電ガイドの安蔵靖志が解説します。

(今回の質問)
テレビをしばらく見ないとき、電源プラグを抜くと節電になりますか?

(回答)
わずかながら節電になりますが、番組表が更新されないなど不便なことも多いです。
どういうことなのか、以下で詳しく解説します。

■電源プラグを抜いても年間で最大136円しか節約になりません
テレビの待機電力は年々省エネ化が進んでおり、最近のテレビは0.1W〜0.5W程度にまで下がっています。1年間で計算すると約27円〜約136円(1kWhあたり31円で計算)と、コンセントを抜いてもほとんど電気代の節約にはなりません。

一方、2012年に発表された、資源エネルギー庁 省エネルギー対策課の「平成24(2012)年度エネルギー使用合理化促進基盤整備事業(待機時消費電力調査)報告書」によると、テレビの待機電力は約3.04W(年間約826円)でした。10年以上前に購入したテレビだと、それなりに節電効果があることが分かります。

■電源プラグを抜くと不便なことも?
待機電力は、「リモコンなどの操作をいつでも受けられるようにする」「指定時刻から予約録画などの動作を行うために待機する」といった目的のために使われています。そのため、電源プラグを抜いてしまうと、これらの動作ができなくなります。

テレビの場合、電源プラグを挿してからでないとリモコンによる操作が全く行えません。また、放送波から番組表をダウンロードできなくなるため、最新の番組表を見るのに時間がかかってしまいます。テレビ内蔵の録画機能も使えません。

10年以上前に販売されたテレビを使っている家庭なら、1日あたり約2円の省エネになりますが、そのために被るデメリットは決して小さくはありません。「テレビの録画機能は使わないし、番組表も見られなくていい」というのであれば、省エネのために電源プラグを抜くのは一つの手だとは思います。

この記事の筆者:安蔵 靖志
ビジネス・IT系出版社で編集記者を務めた後、フリーランスに。記事執筆のほか、テレビやラジオ、新聞、雑誌など多数のメディアに出演。ラジオ番組の家電コーナーの構成なども手掛ける。