愛知県営名古屋空港で航空自衛隊小牧基地(小牧市)のC130H輸送機が緊急着陸する事案が11日にあり、名古屋市などの地元自治体が12日、空自側に文書で抗議した。空自機は機体トラブルで名古屋空港に過去10年で少なくとも19回緊急着陸しているが、そのたびに行う自治体の抗議は空文化しているのが実情だ。

 空自によると、輸送機は11日午前9時20分ごろに訓練のため離陸。油圧系統の不具合を知らせる警告灯が点灯したため引き返し、同10時40分ごろに緊急着陸した。乗員6人にけがはなかった。県名古屋空港事務所によると、滑走路は約8分間閉鎖されたが、民間機への影響はなかった。

 緊急着陸のたびに、空港に近接する名古屋、春日井、小牧の各市や豊山町が抗議し、原因究明と再発防止の徹底を空自側に申し入れている。

 今回のトラブルを受け、空自小牧基地の鮫島建一司令は朝日新聞の取材に「引き続き、入念かつ確実な点検等を継続するとともに、飛行安全に万全を期してまいります」とコメント。ところが同型機は4月15日にも名古屋空港に緊急着陸しており、改善は見られない。空自機の緊急着陸は、エンジンや油圧系統の不具合でここ2年間に限っても6回発生した。

 2007年にはF2B支援戦闘機が離陸に失敗し、機体が炎上する事故も起こった。名古屋市の河村たかし市長はこの日の申し入れで、空自にこう念を押した。「いま一度、機体の点検・整備の徹底を図り、安全運航に万全を期すよう厳に申し入れます」(寺沢知海)