栃木県・那須烏山市役所の移転候補地を3カ所に絞った市庁舎整備検討委員会(三橋伸夫委員長)は15日、「経済性」と「実現性」を再評価して次回までに1カ所に選定する方針を決めた。また、委員らの高評価が最多の「JR烏山駅周辺」で、理解を示す地権者がいることも報告された。

 昨年の委員会で6候補地に絞った後、委員15人それぞれが、(1)総合計画との整合(2)利便性(3)将来性(4)経済性(工事期間と事業費)(5)実現性(土地利用上の制約)の各項目で優れている候補地を最大3カ所選んだ。

 高評価が「JR烏山駅周辺」「中央公園」「金井1丁目地内」。駅周辺は最多の評価を集め、赤字路線で利用者減少が著しい烏山線の「存続対策として絶好の立地」などが評価理由に挙がった。

 ただ、昨年時点で市は3候補地の概算事業費を試算していなかった。駅周辺の想定面積は約1万3400平方メートルで、そのうち市有地が約5200平方メートル、民有地が約8200メートルだ。昨年時点では地権者の意向も不明だった。

 市が今年2月に示した概算事業費によると、駅周辺は約43億7千万円で、中央公園は約51億6千万円、金井1丁目地内は約44億7千万円。

 また、15日の委員会で市は、駅周辺では市有地隣接の民有地の地権者が「買収に向けて理解を示してくれている」と報告した。隣接地だけでも確保できれば、昨年の委員会で示した庁舎と駐車場に必要な敷地約6500〜約7500平方メートルは賄えるという。

 委員は今後、再評価項目で3候補地から最大2カ所まで選び、その結果をもとに6月の委員会で1候補地に決める。そののちに老朽化した他の公共施設や現庁舎の跡地についても議論し、基本構想を答申する。(小野智美)