【福岡】長崎に投下された原爆の第1目標だった小倉陸軍造兵(ぞうへい)廠(しょう)の跡地に立つ北九州市平和のまちミュージアムが、新映像コンテンツ「北九州の戦跡〜忘れてはならない歴史の語り部〜」を制作した。現地に行ったかのような臨場感がある「360度シアター」で公開している。

 1898(明治31)年に下関要塞(ようさい)地帯の一つとして建設された矢筈山堡塁(やはずやまほうるい)の跡(門司区大里)や、同年に発足した第12師団司令部の正門跡(小倉北区城内)、太平洋戦争時の西日本最大級の弾薬庫とされる山田弾薬庫の跡(小倉北区山田町)など市内7カ所の戦跡をたどる。現地のいまの映像に当時の写真や説明のナレーションを重ね、10分間ほどの映像にまとめた。ミュージアムの居蔵邦幸事務局長は「地域の歴史に思いをはせ、戦争や平和、命の尊さについて考えるきっかけにしてほしい」と話している。

 ミュージアムの一帯は、1945年8月9日に米軍が原爆を投下する目標地の第1候補だったが、視界が悪かったなどの理由で原爆は長崎に落とされた。「360度シアター」では、8月8日の八幡大空襲と、翌9日に原爆を積んだ米軍爆撃機が小倉上空を旋回後、長崎に向かった出来事を再現する映像「運命の昭和20年8月8日・9日」を開館中の毎時4回ずつ上映してきた。今回の新映像コンテンツは、このうちの1回、毎時45分からの枠で1日から公開されている。

 ミュージアム(093・592・9300)は月曜休館(休日の場合は翌火曜休館)、入館料一般200円。(小島達也)