2023年11月に不具合が発生した探査機ボイジャー1号。それ以来、探査機からの科学データの送信は途絶えていました。NASA(アメリカ航空宇宙局)は4つの科学機器のうち2つの機器からの科学データの送信を2024年5月中旬に再開したと発表。今後数週間かけて、残り2つの機器からの送信も再開する見通しです。

ボイジャー1号は昨年11月以来、意味のあるデータが送信されない状態が続いてきました。調査の結果、探査機に搭載されている3つのコンピューターのうちの1つ、フライトデータシステム(FDS)内のメモリの一部が破損していることが判明。失われたコードを分割してFDSメモリの別の場所に再配置することで、4月下旬には探査機の状態などを示す工学データが送り返されるようになっていました。(参考記事)ボイジャー1号、正常な工学データの送信を再開!

ボイジャーの運用チームは5月17日、科学データの送信再開のためのコマンドを探査機へ送信。そのおよそ2日後にコマンドが成功したことを確認しました。ボイジャー1号は現在、地球から240億km以上離れており、電波が届くまで片道22時間半かかります。そのため結果を確認できるまで2日間も待たされることになるのです。

送信が再開したのは、プラズマ波サブシステムと磁力計のデータです。宇宙線測定サブシステムと低エネルギー荷電粒子検出器については、データ送信の再開に向けて作業が続けられています。ボイジャー探査機の公式アカウントは現在の状況についてX(旧Twitter)で、停電したときに家中を歩き回って電子機器をリセットしなければならないのと似ているとポストしています。なおボイジャー1号には、それ以外にも6つの観測装置が搭載されていますが、それらはすでに機能を停止したり、土星を通過したあとに電源が切られたりしており、現在は動作していません。

1977年9月に打ち上げられたボイジャー1号は、あと数か月で打ち上げから47年が経過します。1977年8月に打ち上げられたボイジャー2号とともに、現在は太陽圏を抜けて星間空間を航行中です。

(参考記事)
ボイジャー1号、2号の現在地は? 今どこにいるのか
ボイジャー1号の主な成果は?

Image Credit: Caltech/NASA-JPL

(参照)NASA