金曜日に続き、F1第8戦モナコGPの土曜日も角田裕毅(RB)は好調だった。

「一晩かけて、金曜日のフリー走行のデータを分析し、シミュレーター作業を行い、フリー走行3回目に向けて、クルマのセットアップはさらに最適化された」と語るのは、車両パフォーマンス責任者のギヨーム・デゾトー。

 土曜日のフリー走行3回目は、その変更したセットアップを確認するとともに、予選で履くソフトタイヤでマシンの限界を試す最後の機会。使用するソフトタイヤは新品2セットが用意された。

 数周分の燃料を搭載して、1セット目の新品のソフトを履いてコースインした角田は、まずセットアップの確認を行う。それが問題ないことを確認した後、最後にプッシュ。一時2番手となる1分12秒526をマークした。

 全車新品のソフトタイヤを履いてタイムアタックを行ったセッション終盤、角田も2セット目のソフトタイヤを履いてコースイン。1分11秒991で再び3番手に浮上した。最終的にフリー走行3回目は9番手で終えたが、手応えを感じながら、予選に臨むこととなった。

 気温22度、路面温度49度、青空の下で開始された予選はQ1から波乱が続出する。1周が短く、狭く曲がりくねったモンテカルロ市街地サーキットは渋滞が発生しやすく、クリアラップを取るのが難しい。Q1ではフェルナンド・アロンソ(アストンマーティン)やセルジオ・ペレス(レッドブル)といったモナコ・ウイナーが敗退する波乱の幕開けとなった。

 そんななか、角田はQ1の1セット目のタイヤで一時5番手となる1分12秒752を記録し、5周を走行してピットイン。その後、ライバル勢が次々とタイムを更新し、Q1脱落のボーダーラインまで後退する。

 残り5分を切って、2セット目の新品のソフトタイヤを履いてコースインしたとき、角田のポジションは16番手以下まで後退していた。ここで失敗は許されない。モナコは1セットのタイヤで複数回アタックができるが、時間的に角田に残されたチャンスは2回。角田はその1回目で1分11秒852をマークして、19番手から7番手に浮上した。

 最後のアタックで自己ベストは更新できなかったものの、13番手に踏みとどまり、Q1を突破した。

 Q2はさらに接近した戦いとなった。1セット目のタイヤで1分11秒257をマークした角田は一時3番手まで浮上。Q3進出を賭けた2セット目のタイヤでのアタックは、アウトラップで後ろから接近してきたアタックしているドライバーたちに進路を譲らなくてはならず、自分のペースで走れず、タイヤに十分熱が入らないままアタックを開始することとなった。そのため、タイムは自己ベストをコンマ1秒更新する1分11秒106にとどまり、9番手でQ2を突破した。

 Q1とQ2で2セットずつ新品のソフトタイヤを使用した角田には、Q3では1セットしか新品のソフトタイヤは残っていなかった。前戦エミリア・ロマーニャGPの予選ではQ3に新品のソフトタイヤを2セット残していたにも関わらず、Q2の自己ベストを更新できなかった角田。

 しかし、モナコGPで残された1セットの新品のソフトタイヤで乾坤一擲のスーパーラップを刻んだ。セクター1からセクター3まですべての区間で区間自己ベストを更新した角田は、1分10秒858を叩き出し、その時点で7番手となる。その後、ランド・ノリス(マクラーレン)に抜かれて8番手となるが、トップ5チームに次ぐポジションを今回もしっかりと確保。昨年のモナコGP予選の9番手を上回る、見事なパフォーマンスを披露した。