◆ 3回無失点

 「今日のMVPの一人ですね」。

 ロッテの吉井理人監督が26日、7−1でソフトバンクに勝利した試合後の会見で、このように評価したのが、0−0の2回から3イニングを無失点に抑えた中村稔弥だ。

 中村稔はプロ入りからロングリリーフでの登板が多く、ブルペンデーとなったこの日は0−0の2回、先発・岩下大輝の後を受けてマウンドに上がった。1イニング目の2回は近藤健介、栗原陵矢、川村友斗と左打者3人を内野ゴロに仕留め、15球で片付ける。2イニング目となった3回は先頭の甲斐拓也にレフト前に運ばれるも、後続を打ち取り無失点。

 3回裏にソトの2点適時打で先制し、2−0となった4回は柳田悠岐を二ゴロ、山川穂高を二ゴロとテンポ良く2アウトを奪う。二死走者なしから近藤健介に二塁打を打たれるも、栗原陵矢を一ゴロで、3回・50球、2被安打、無失点の好投。「低めに丁寧にしっかり投げられたので良かったと思います」と、今季初勝利を手にした。

 チェン・グァンユウがロッテに在籍していた時にロングリリーフの際、“テンポ良く投げる”ことを教わり、その教えを今も実践している。チェン直伝の“テンポ”がこの日、チームに勝利を呼び込む投球となった。

◆ 準備

 中村はこの日は5月17日の日本ハム戦以来の登板。日本ハム戦の前も5月7日の西武戦と、登板間隔が空いての登板が続いている。それでも、5月は4試合・7イニングを投げて、1勝0敗、4奪三振、4被安打、0与四球、1失点、防御率は1.29と安定した投球を見せる。

 試合前の練習では「キャッチボールと準備とかはしっかりやるようにしています」とし、その中でも準備は「柔軟ですかね」と大事にする。ブルペンでの過ごし方は「去年と一緒で自分がやることをやって準備をしています」と、いつ呼ばれてもいいように体を作る。

▼5月の中村稔弥の登板
1日vsオリックス 2回 1失点
7日vs西武 1回 無失点
17日vs日本ハム 1回 無失点
26日vsソフトバンク 3回 無失点

◆ ストレート

 投球面で言えば、オフから課題を持って取り組んできたストレートが良い。5月で言えば、7日の西武戦、6−1の9回二死走者なしで渡部健人に投じた初球144キロ空振りストレートが良かった。

ストレートについて中村は「今はいい感じで投げられています」とし、渡部から空振りを奪ったストレートが良かったと伝えると、「あの時よりも、日本ハム戦の方がしっかり力を伝えられているのかなと思います」と振り返る。

 昨年シーズン終了後の取材でキレの良いストレートを投げたいと話していたが、そこについてもここまでは「そこも毎日どうやったらいい球を投げられるかなと考えながらやれていると思います」と話した。

◆ 与四球0

 5月は7イニングを投げ与四球が“0”。

 ストレートも「しっかりコントロールも意識して、ボール先行にならないように、ストライク先行で攻めていけるようにと考えて投げられています」とのこと。

 5月の与四球は0だが、「でもカウント悪くなっているところがあるので、ストライク先行でもっと投げたいなと思います」と反省も忘れない。

 「チームに少しでも貢献できるように投げていきたいと思います」。中村稔弥の役割は、ビハインドであれば相手チームが勢いをついた場面で投げることもあり、26日のようなブルペンデーではロングリリーフで2イニング、3イニング計算された中で投げるなど、勝利の方程式で投げる投手と違った難しさがある。その中で、しっかりと役割を果たす中村の存在はチームにとっても大きい。

取材・文=岩下雄太