BMW Motorradが2024年5月2日、オートメイテッド・シフト・アシスタントを発表。同システムを搭載する事で全自動クラッチ操作によるマニュアルまたは自動変速が可能となり、ライディングの楽しみがさらに広がります。
ライディングをよりシンプルかつ快適にする革新的な技術ソリューション
2024年5月2日、BMW Motorradからオートメイテッド・シフト・アシスタント(ASA)が発表されました。
ASAは全自動クラッチ操作によるマニュアルまたは自動変速が可能となるシステムで、ライディングの楽しみをさらに広げてくれるものです。
BMW Motorradは、ライディングをよりシンプルで快適なものにする革新的な技術「ASA」を導入することで、「Simplify your ride(走りをシンプルに)」というモットーを実現させる為に重要な、変速ダイナミクスを犠牲にすることなく、クラッチと変速を自動化する事によって、ライディング・エクスペリエンスのさらなる向上を目指すと発表しています。
ASAは、2つの電気機械式アクチュエーターが6速トランスミッションのクラッチとギアシフトを自動化させるという設計が特徴で、手動でクラッチを操作するためのハンドレバーは不要。ASAによって、発進、停止、操作が簡単になります。
自動シフト・アシスタントを使ったライディングは、回転数や負荷に応じた素早いシフト操作と正確なギアチェンジのおかげでライダーの負担が軽減されます。
Mシフトモードでは、ギアチェンジはフットコントロールで行うことができるため、ライダーがギアチェンジのタイミングを決めることが可能です。
また、DシフトモードではASAの本領が発揮され、シフトポイントはエンジン・コントロール・ユニットによって自動的に選択されます。
Mモードでも、Dモードでも、ライダーは完璧なギアチェンジを行うことができ、その結果バイクの効率的な加速、走行安定性が向上します。
例えばシフトアップの際に、手動クラッチを備えたマニュアルトランスミッションにありがちな衝撃はほとんどなく、変速時にライダーとパッセンジャーがヘルメットを接触させてしまうというリスクも減少します。
シフトダウンも可能な限りスムーズに行われるため、挙動の乱れを最小限に抑えられるように設計されています。
そして将来的にはアクティブ・クルーズ・コントロールや前面衝突警告との組み合わせにより、機能のネットワーク化も実現される予定です。
変速ミスによるエンジンストールの可能性を排除する技術
荷物や同乗者を乗せて旅行している場合などの難しいライディング状況では、クラッチとスロットルの操作にかなりの集中力が必要です。
しかし、ASAを使用する事でライダーは、あらゆるライディング状況でコントロールを維持することができ、より自由でリラックスしたライディングを楽しむ事が可能。
この技術により、強力なボクサーエンジンは、自動クラッチ操作のおかげで、上り勾配で楽に発進することもできます。これは、オフロードや困難な路面での車両制御の向上という点でも恩恵をもたらすポイントでもあります。
ライダーのシフト操作はギアシフトレバーセンサーを介してコントロールユニットに送信され、従来の足で操作するギアシフトレバーによって作動する仕組みです。
追加のセンサーにより、トランスミッション入力シャフトの回転数とクラッチ位置が測定され、これらの値がエンジンコントロールユニットと密接にリンクされているTCU (トランスミッション コントロール ユニット) に送信されることで作動します。
そしてクラッチは、クラッチマスターシリンダーとスレーブシリンダー間の油圧システムと組み合わされた電気機械アクチュエーターによって操作されます。
アクチュエーターは必要なクラッチの滑りを調整し、ギアを変更するときにクラッチを接続。停止する際にはクラッチを切断します。
なお、マニュアルシフトモード「M」では、ライダーは通常の方法でシフトレバーを希望の方向に動かすことが可能。
希望するギアの回転数が最大回転数または最小回転数の範囲内にある場合は、直接シフト操作がおこなえます。
しかし、エンジン回転数がギアに依存する最低速度を下回った場合、マニュアルモードでもシフトダウンが自動的に実行され、それによりエンジンが停止するのを防ぎます。
そしてシフトモード「D」では、ライディングモードやエンジン回転数、スロットル位置やリーンアングルパラメータに応じてギアを自動的に変更。ギアはライディング状況や動的要件に応じてシフトされます。