◇28日 女子ゴルフ パナソニック・オープン・レディース最終日(千葉県市原市・浜野GC)

 首位タイから出た天本ハルカ(25)が7バーディー、1ボギーの66で回り、通算19アンダーでツアー初優勝を果たした。1998年度生まれの黄金世代では15人目の優勝者。5度目のプロテストで合格した苦労人が大会のトーナメント記録を塗り替え、激しいバーディー合戦を制した。

 涙のない、笑顔満開の初優勝だった。後続に2打差をつけ、プロデビュー3年目で初優勝。天本は「今年の一つ目の大きな目標だった初優勝ができた。ひと言うれしい」と晴れやかな表情で喜んだ。

 一時は首位と1打差以内に10人以上が競り合う混戦。ここから、8番パー3で約8メートルのバーディーパットを決めて抜け出した。12番まで5連続バーディー。9番パー5の50センチなど、ショットがカップの近くに次々と寄っていった。

 「前半から調子が上がってこなかったが、8番で長いのが入って流れに乗ることができた」。2位と1打差だった17番で2メートルのバーディーパットを決めると、右手で小さいガッツポーズをつくった。

 今回で駄目だったら諦めると決めて臨んだ2021年11月のプロテストに5度目の挑戦で合格した。直後の最終出場予選会(ファイナルQT)は32位で、一定数の出場機会を確保。23年はポイントランキング43位でシードをつかんだ。

 ただ、周囲の成長はもっと速かった。同学年の選手が次々と優勝。同じプロテストで合格した同期の若い選手も竹田ら4人が優勝した。男子の元賞金王で2001年のマスターズ4位などの実績を持つ伊沢利光に師事。「言葉よりも、見て学ぶことが多い」と技術に磨きをかけた。

 今季の9試合で平均ストロークは69・8161、パーオン率は77・1717でともに2位、パーセーブ率は89・8990で3位と安定感がアップ。27日夜は師匠から「今週はいいゴルフができている。楽しんで。グッドラック」とLINEが来て元気をもらった。

 ゴルフと無縁の家庭で育ち、幼少時から母と2人で目指してきた夢をかなえた。「最高の恩返しができた」と言って、また笑った。