フィギュアスケート男子の冬季五輪2大会連続メダリストで、2022年と23年の世界選手権を連覇した宇野昌磨(26)=トヨタ自動車=が9日、現役引退を表明した。自らのインスタグラムを更新し、「現役選手を引退する決断を致しました」と発表した。14日に記者会見を行い、現在の心境や今後の活動などについて、自らの言葉で説明する。

 世界中を魅了し続けてきた男が「自分ともう一度向き合いたい」として熟考してきた進退について一つの結論を下した。競技生活からの引退。インスタグラムで決断を報告した宇野は、感謝の思いがこもった言葉を続けた。

 「今日まで競技者としての僕を応援してくださった皆様、支えてくださった皆様、本当にありがとうございました」

 5歳の時に名古屋のリンクで浅田真央さんに声をかけられてスケートを始めてから21年。輝かしい足跡を残してきた。冬季五輪は18年平昌大会で銀メダル、22年北京大会で銅メダルを獲得。世界選手権では日本勢男子初の大会連覇を達成した。全日本選手権も16〜19年の4連覇や今季など6度も制覇。グランプリ(GP)ファイナルや四大陸選手権も制し、フィギュア界をけん引してきた。

 しかし、近年はモチベーションの維持に苦心しており、4位だった3月の世界選手権(カナダ)の終了後には「日々頑張るのが難しいと思う時期もあった」と語り、「僕は最善を尽くした。みんなが切磋琢磨(せっさたくま)しながら頑張ってほしい」と引退を示唆する言葉も残した。日本勢男子は鍵山優真(オリエンタルバイオ・中京大)や三浦佳生(オリエンタルバイオ・明大)ら若手が成長。そんな仲間に後を託し、競技の第一線から退くことを決断した。

 「素晴らしい競技生活を送れたことにとても感謝しております」。インスタグラムにはこんな文面もつづった宇野。今後については会見で説明するとしたが、多くのアイスショーへの出演がすでに発表されている。これまでと同様、表現面を中心に納得の滑りを追究することになりそうだ。