【彦野利勝の目】◇26日 中日5―0ヤクルト(バンテリン)

 期せずして”ブルペンデー”のような継投をするしかなかった中日が、総得点リーグトップのヤクルトを完封した。2回からスクランブル救援となった橋本がクリーンアップを3者三振に仕留めて、2イニング3分の2を無失点。攻撃陣は先手を取り、中押し、ダメ押しと理想的に5点を奪って、2試合連続の完封勝利を収めた。

 本紙評論家の彦野利勝さんは「中日は典型的なバンテリンドームでの勝ち方」と評す。攻撃陣では石川昂に今後への期待感を高めた。

 7試合ぶりにスタメン起用された石川昂は「3番」を任され、1回は田中が送りバントを失敗した直後、左中間フェンス直撃の二塁打を放ち、チャンスを広げた。松本健のストレートを捉えた一打だった。そして細川の遊ゴロで先取点を取り、ビシエドの今季初打点となる右前タイムリーで加点した。

 石川昂は3回にも左翼フェンス直撃のタイムリー二塁打を放ち、4回は内角高めのストレートを中前安打した。

 彦野さんは、2週間前の広島遠征中に代打で二塁打を放った打撃を見たときから、好調の兆しを感じていたという。

 「1打席目は、田中のバント失敗をカバーする打撃にもなりました。腰の座った良い打撃でした。構え方がどっしりとして、打席で落ち着いているように映ります。広島で見た時からずっと打撃は良いと思います。それまでは構えた時にバットのグリップの位置が顔より上のほうにあったんですが、その試合では顔のあたりに下がっていました。その位置が高い時は飛び付くようにして打って凡打するシーンもありましたが、打撃フォームの単純な修正で変わりましたね」

 復帰してきたディカーソンが2試合連続安打を放ち、中田もウエスタン・リーグの試合に復帰した。高橋周もファームで調整中。28日から始まる交流戦でそろえば攻撃陣の厚みが増すだろう。そんな中でまだ心配なのが岡林。この日は無安打に終わった。

 彦野さんは「忙しい打撃をしていた」と指摘する。構えた際にバットのグリップの位置を顔より投手寄りに置き、そこから捕手側へバットを引いてからスイングに移る。「その引く動作が大きくて、投球に差し込まれていました」と彦野さん。この日は「6番」を任されていたが、彦野さんは「岡林は去年まで走者をかえす打撃をしていなかったので、やはり1番か2番が適任と思います。今は村松の1番がはまっているので、そこは変える必要はないと思いますが」と話す。復調を図るには「2番」が適所と考える。