◇26日 男子ゴルフ ミズノオープン最終日(岡山、JFE瀬戸内海GC)

 2日目から首位の木下稜介(32)=ハートランド=が71で回り、通算12アンダーで2021年以来3年ぶりのツアー3勝目を挙げた。欧州ツアー参戦前最後の試合となった桂川有人(25)=国際スポーツ振興協会=も71で、3打差の3位。ともにメジャー第3戦、全英オープン(7月18〜21日、ロイヤル・トゥルーン)の出場権を獲得した。

 感動的な優勝シーンだった。木下は18番で短いパーパットを沈めると、右拳を胸に当ててしばらく立ちつくした。「もう一度勝てるのかと、ずっと考えていた。その思いが急に込み上げてきて…」。動けなかったのは涙を抑えるためだった。

 深いラフ、厳しいピン位置が選手を苦しめ、首位のスコアが膠着(こうちゃく)した。勝負に出た木下は実質191ヤードの16番パー3で7番アイアンを握ったが、左ピンをドローで狙いすぎ、左の斜面下に落とした。グリーン面とは人の背丈ほど高低差があり、エッジからピンまでは5メートルしかない。しかもピンの反対側は急な下り傾斜。ダブルボギーなら、優勝圏外に去る。

 幸いボールは草の上に浮いていた。旗も少しだけ見えた。「腹をくくるしかない」。15ヤード打つつもりでロブショット。その第2打は高く上がり、ピンの手前2メートルで止まった。パーパットは入らなかったが、値千金のボギー。次の17番は風に逆らわずカットに振り抜き、フェードボールでフェアウエーへ。3年前、盤石な闘いぶりで2勝したころのゴルフに戻っていた。

 ツアーは若手の台頭が激しく、32歳の木下は今季の日本勢最年長優勝。「この3年間は若手がたくさん出てきて、もう勝てないんじゃないかと思った。特に飛距離では、以前は飛ばない方ではなかったのに、今は飛ばない部類になって焦りがある」という。賞金ランクも2021年は3位(20年との統合シーズン)だったが、その後は21位、31位と下がっていた。

 そんな状況から若手たちを一蹴し「もう一度戻りたい」と言い続けていた全英へ、日本ツアーの優勝者として乗り込む。「前回は予選を通るのが精いっぱいだった。今度は優勝するつもりで行く」。失われた3年を埋めるため、木下は英国に向かう。

 ◆全英オープンの日本勢の有資格者 木下稜介(ミズノOP優勝)、桂川有人(同3位)、久常涼(2023年欧州ツアーポイントランク30位以内=17位)、岩崎亜久竜(同年日本OP優勝)、星野陸也(同年ISPSハンダ・オーストラリアOP優勝)、中島啓太(インターナショナルフェデレーションランク5位以内)、松山英樹(21年マスターズ優勝)

 今平周吾、堀川未来夢もミズノOP3位だが、世界ランクで上回る桂川に優先権がある。