将棋の藤井聡太名人(21)=竜王・王位・叡王・王座・棋王・王将・棋聖との八冠=に豊島将之九段(33)が挑戦する第82期名人戦7番勝負第5局は27日、北海道紋別市のホテルオホーツクパレスで2日目の対局が行われ、午後に入ると激しい応手が交わされるようになった。

 豊島九段が58手目に金を繰り出して藤井陣に迫ると、藤井名人は59手目で敵陣につくった馬を自陣に引き寄せて陣形を整えた。さらに63手目に敵陣に放った香車で金を奪うと、すぐさま6筋に打ち込む積極策で豊島玉に迫っていった。豊島九段も8筋の急所に桂馬を打ち勝負に持ち込んだ。

 豊島九段が68手目を考慮中に午後3時となり、午後のおやつが運ばれた。藤井名人はドリンクのみでラズベリーラッシー、豊島九段は「オホーツク紋シフォン」とバナナジュースを注文した。

 1日目には豊島九段が16手目に8筋の飛を4筋に動かす、シリーズ初の振り飛車を採用。第4局で初勝利を挙げた豊島九段が勝負手で逆襲に挑んだ。藤井名人も35手目に、玉を1段上がった9筋の香車の下に潜り込み、穴熊を金銀4枚で囲う最強の堅陣に構え相手の攻撃に備えた。

 両者は過去37局対戦し、藤井名人の25勝12敗。藤井名人がプロデビューした直後は豊島九段が6連勝、最近は藤井名人が12連勝していたが、本棋戦第4局で豊島九段が連敗を止めた。タイトル戦では5度目の顔合わせで過去は藤井名人が番勝負4連勝。叡王、竜王を獲得、王位を2度防衛している。藤井名人は第4局に敗れストレート防衛は逃したが、本局に勝てば名人戦初防衛、タイトル戦初挑戦からの22連覇を達成する。また藤井名人は伊藤匠七段(21)を挑戦者に迎え1勝2敗とかど番となっている第8期叡王戦5番勝負第4局を31日に控えている。