台湾東部・花蓮で発生した地震の被害に遭われた皆さまに心よりお見舞い申し上げます。

 CREA編集部では、台湾観光庁の声明や、現地コーディネーターからお話をうかがい、台湾を応援する気持ちを込めて、完売したCREA春号をハンディサイズにムック化した、CREA Due『愛しの台湾』を刊行します。その一部を抜粋し、掲載します。

 CREA編集部一同、一日も早い復興をお祈り申し上げます。


あの日の台湾を探しに

「真夏でなければ、嘉義は徒歩か自転車で回るのがいいですよ」

 嘉義で古道具屋を営む蔡小芳さんの言葉通り、歩いて街を巡ると、色褪せた看板、市場をうろつく老いた野犬、淡いブルーの鉄窓花と、次々現れるノスタルジックな光景に眩暈がしてくる。

 台南の北に位置し、阿里山のゲートシティでもある嘉義は、日本統治時代に林業で栄えた街。いまも当時の面影を色濃く残し、特に近年は若者の移住先としても人気を集めているのだとか。

「時間の流れがゆったりしているから、4泊ぐらいのんびり滞在して」と語るのは、蘭桂坊花園酒店の顏永明さん。徒歩や自転車で回りやすいサイズ感、年中温暖な気候。都市開発の波から取り残されたような風景……。嘉義で過ごすうちに誰しも時を忘れ、不思議と呼吸もゆったり、深くなっていく。

アクセス

台北駅から高鐵嘉義駅は、台湾高速鉄道で約1時間30分。街の中心部までは、さらに嘉義客運BRT7212バスに乗り「嘉義市運中心」で下車(約25分)。バスは高鐵の切符を提示すると運賃無料に。


◆【西區】嘉義七彩冰果室(ジャーイーチーツァイビングォシー)


【西區】嘉義七彩冰果室。

【西區】嘉義七彩冰果室。

 レトロな看板が目を奪う1949年創業の果物店。パパイヤミルクやカットフルーツが名物で、果物は台湾南部で採れた新鮮なものばかり。

 手づくりプリンもコクがあって美味。


台湾ではトマトは野菜でなくフルーツ。よく冷えたトマトに、ショウガと甘草入りの甘い特製タレを絡めれば、優しく懐かしい味わいに。特製番茄盤 60元。

嘉義七彩冰果室(ジャーイーチーツァイビングォシー)

所在地 嘉義市西區中山路329號
電話番号 05-227-1953
営業時間 10:00〜21:00
定休日 無休
※カード不可

◆【東區】嘉義市東公有零售市場(ジァーイーシードンゴンヨウリンショウシーチャン)


【東區】嘉義市東公有零售市場。

 1914年から続く伝統の市場。何度も火事に遭いながら、いまも一部建物は開業当初の姿を留めている。

 昔ながらの祭具やお供えものが並ぶエリアは必見。牛肉湯や春巻の名店も集結。


【東區】嘉義市東公有零售市場。

嘉義市東公有零售市場(ジァーイーシードンゴンヨウリンショウシーチャン)

所在地 嘉義市東區忠孝路光彩街口
電話番号 05-222-0391
営業時間 6:00〜18:00ごろ
定休日 月曜

◆【東區】中山路老店切仔麵、魯熟肉(ヂョンシャンルーラオディエンチエザイミェン ルーショウロウ)


【東區】中山路老店切仔麵、魯熟肉(ヂョンシャンルーラオディエンチエザイミェン ルーショウロウ)

 正式な店名がなく、各々が好きなように呼んでいるという米苔目と魯肉飯の店。かつては美容院だったのだろう、剝げた看板から「院容美」の文字がまだらに露出した様子が味わい深い。

 現在は3代目となる兄弟が店を切り盛りする。


米粉から作られた麺・米苔目(30元)は、独特のもちぷる感が堪らない。茹で野菜は店主の母が、自らの畑で育てたもの。ニンニクたっぷり、パンチの効いたタレと一緒に。

中山路老店切仔麵、魯熟肉(ヂョンシャンルーラオディエンチエザイミェン ルーショウロウ)

所在地 嘉義市東區中山路192號
電話番号 0935-961-528
営業時間 17:00〜22:45
定休日 不定休
※カード不可

◆【東區】嘉義南門包氏炭燒杏仁茶(ジャーイーナンメンバオシータンシャオシンレンチャ)


【東區】嘉義南門包氏炭燒杏仁茶(ジャーイーナンメンバオシータンシャオシンレンチャ)。

 道端に赤いプラスチックの椅子を並べただけの素朴な朝食店。

 かつては各地で見られた光景だが、「いまはもううちだけ」と店主。炭火でじっくり温めた卵黄入りの甘い杏仁茶(35元)に油條(15元)を浸して食べる。


左:甘い杏仁茶(35元)、右:油條(15元)。

嘉義南門包氏炭燒杏仁茶(ジャーイーナンメンバオシータンシャオシンレンチャ)

所在地 嘉義市東區民族路191號
電話番号 0928-503-503
営業時間 6:00〜10:00
定休日 月曜、雨の日
※カード不可
Instagram @pao.tea_

◆【東區】弄,來小餐桌(ノン ライシャオツァンジョウ)


【東區】弄,來小餐桌(ノン ライシャオツァンジョウ)。

 高雄から移住したお洒落な夫婦が切り盛りする食堂。

 以前は嘉義の別の場所で、無機質な雰囲気の食堂を営んでいたが、もっと街に深く根差したお店をつくりたいと一念発起。移転し、古きよき台湾を思わせる食堂をいちからつくり上げた。


【東區】弄,來小餐桌(ノン ライシャオツァンジョウ)。

弄,來小餐桌(ノン ライシャオツァンジョウ)

所在地 嘉義市東區吳鳳北路53號
電話番号 05-227-5888
営業時間 11:00〜14:00、17:00〜21:00
定休日 月曜
※カード不可
Instagram @longlai.no80

◆【東區】民主火雞肉飯(ミンヂューホウヂーロウファン)


鶏肉飯小(35元)。

 嘉義は鶏肉飯発祥の地。戦後の食糧難の際、米軍が持ち込んだ七面鳥に魯肉飯の汁をかけたことがその端緒と言われ、この店ではいまでも七面鳥の鶏肉飯を供する。

 絞めたばかりの七面鳥を“温体”のまま(冷凍や冷蔵を介さないこと)調理し、ご飯にのせた鶏肉飯小(35元)は、噛むほどに滋味深い味わい。

民主火雞肉飯(ミンヂューホウヂーロウファン)

所在地 嘉義市東區民族路149號
電話番号 05-216-2666
営業時間 10:00〜20:40
定休日 無休
※カード不可

◆【西區】舊美好.生活器物.古道具(ジョウメイハオ シェンホウチーウー グーダオジュー)


【西區】舊美好.生活器物.古道具(ジョウメイハオ シェンホウチーウー グーダオジュー)。

 20年以上東アジアの骨董を集めてきた蔡小芳さんが営む古道具店。

「台湾の美意識は純朴さにあると思います」と語る蔡さんのつくり出す空間は、静謐で言葉を失う美しさ。築100年を超える建物は元々将軍の住居だったという。


【西區】舊美好.生活器物.古道具(ジョウメイハオ シェンホウチーウー グーダオジュー)。

舊美好.生活器物.古道具(ジョウメイハオ シェンホウチーウー グーダオジュー)

所在地 嘉義市西區西榮街2號
電話番号 0922-900-246
営業時間 14:30〜18:00(要予約)
定休日 Instagramを確認
※カード不可
Instagram @unique__antique01

◆【西區】台灣花磚博物館(タンワンファーヂュアンボーウーグァン)


【西區】台灣花磚博物館(タンワンファーヂュアンボーウーグァン)。

 1920年代に台湾で流行した「マジョリカタイル」を集めた私設博物館。

 壁一面に並ぶ圧巻のタイルは館長が私財を投じて集めたもの。マジョリカタイルはそのほとんどが日本製。


【西區】台灣花磚博物館(タンワンファーヂュアンボーウーグァン)。

台灣花磚博物館(タンワンファーヂュアンボーウーグァン)

所在地 嘉義市西區林森西路282號
電話番号 0905-012-390
営業時間 10:00〜17:30
定休日 火曜
https://www.1920t.com/

◆【西區】蘭桂坊花園酒店(ラングェファンファユェンジョウディエン)


【西區】蘭桂坊花園酒店(ラングェファンファユェンジョウディエン)。

 2016年オープン、夜市まで30秒という街の中心地に立つホテル。

 ロビーには、阿里山の木材を使ったベンチや清時代の古美術が置かれ、嘉義の歴史を物語る。


【西區】蘭桂坊花園酒店(ラングェファンファユェンジョウディエン)。

蘭桂坊花園酒店(ラングェファンファユェンジョウディエン)

所在地 嘉義市西區延平街250號
電話番号 05-228-8228
チェックイン15:00/チェックアウト11:00
客室数 70室
宿泊料金 3,000元〜(2名1室、朝食込み)
https://www.lankwaifonghotel.com.tw/

※表紙と巻頭グラビアに登場したNICHOLASのスペシャルインタビュー、台湾で必ず食べたい小籠包魯肉飯の名店、メイドイン台湾の美しい日用品などが盛りだくさんの台湾特集はCREA Due『愛しの台湾』でお読みいただけます。

写真=衛藤キヨコ
コーディネート=青木由香