家のポストに入っている共済のチラシを見ると、掛け金は安いし気になる人もいることでしょう。共済と保険は何が違うのでしょうか。監督官庁や根拠法が違うなど、違いはさまざまありますが、ここでは、加入する・しないの判断ポイントとなる違いについてお伝えします。

共済と保険の共通点と違い

共済も保険も掛け金や保険料を支払い、病気やけがなどになったときにお金を受け取れる仕組み自体は同じです。しかし、その内容においては、違いが多々あります。
 
■共済は60代を境に保障内容が変わる
 
一般的に共済は60代を境に保障内容が変わります。商品が変わるといっても良いでしょう。50代までは入院や死亡で手厚い保障を受けることができても、60代以降は掛け金が同じでも保障が小さくなります。例えば、掛け金が2000円で、20〜50代であれば入院1日あたり5000円の保障であるところ、60代以降になると1日2500円になるなど、同じ掛け金で保障が半分、あるいは半分以下になるのが一般的です。
 
これは20代(共済によって18歳)〜50代(共済によっては64歳)が加入する商品と60代以降に加入できる商品が異なるためです。当然、高齢になった時のほうが病気や死亡のリスクは高くなりますから、掛け金が同じであれば保障が小さくなります。一方、20〜50代等の人が加入できる商品はリスクが小さい人を対象とした商品のため、掛け金が手頃で保障が厚い内容になっています。
 
他方、民間保険会社の医療保険は特定の年齢を境に保障内容が分かれることはなく、保障内容が同じであれば契約期間内に保険料は変わらないのが一般的です。
 
■共済は同じ商品なら年齢によって掛け金の差がない
 
共済のメイン商品は、医療保障と死亡保障がセットになったものですが、この商品の場合、加入できる年齢であれば年齢によって掛け金の差はありません(年齢によって掛け金が異なる商品もあります)。20〜59歳まで加入できる商品であれば、20歳で加入しても59歳で加入しても、同じ掛け金が適用されます。一方、民間保険会社の医療保険は年齢によって保険料は変わり、若いほど保険料が安いのが一般的です。
 
■共済は保障内容が改定されれば、改定内容が自動適用される
 
共済は、毎年、あるいは数年に一度、保障内容が改定されることがあります。多くの場合、保障範囲が広がったり、共済金がアップしたり、アップグレードされる改定で大きな改定から小さな改定までさまざまですが、変更された内容はアップグレード後に契約した場合はもちろん、すでにその商品を契約している契約者にも適用されます。
 
保険の場合は、商品がアップグレードされたとしても、アップグレード以降に契約した人にしか適用されないのが一般的です。
 
■個人賠償責任保険を付帯できる
 
個人賠償責任保険とは、他人のものを壊してしまったり、他人に被害を与えてしまったり、法律上の損害賠償責任を負った場合に補償してくれる保険ですが、共済はこの保険をオプションとして付帯できるものが多くあります。
 
一方、医療保険には個人賠償責任保険を付帯することはできず、火災保険や自動車保険、傷害保険など損害保険に付帯することになります。
 
■共済の保障は80代まで
 
共済にも終身保障の商品はありますが、メイン商品は80代までになっているものが多数派です。男性の平均寿命は81歳、女性の平均寿命が87歳であることを考えると、終身保障されない可能性があることは知っておいたほうが良いでしょう。一方、保険会社の医療保険は自分が契約年齢を選ぶこともできますが、終身保障も可能です。
 

共済に入ったほうがいいの?

共済にしろ、保険にしろ、安いからといって加入するものではありません。必要な保障であれば、掛け金や保険料が高くても加入する必要はあるでしょうし、不要な保障であれば安くても加入する必要はありません。
 
これから保険や共済を検討する場合は、まずは、保険代理店で保険の設計書を作ってもらいましょう。その上で、共済と比較し、どちらが自分にあっているか検討してみてください。比較するとその違いがよくわかります。
 
執筆者:前田菜緒
FPオフィス And Asset 代表、CFP、FP相談ねっと認定FP、夫婦問題診断士