高速道路などの有料道路の料金所で停車せずに料金を精算できる便利なETC。実は、さらに進化した「ETC2.0」というシステムに生まれ変わったことをご存知でしょうか。   本記事では、ETC2.0の概要や従来のETCからの追加機能、従来のETCが使えなくなるのか、ETC2.0のメリットなどを解説します。

高速道路を賢く使えるようになる「ETC2.0」とは

ETC2.0は、従来のETCがバージョンアップした新しいサービスです。従来のETCのように高速道路の通行料金の支払いに利用できるのはもちろん、「リアルタイムの渋滞情報の解析」「災害発生時に通行可能な道路への誘導」など、安全で効率的な走行をサポートしてくれます。
 
全国の高速道路に設置された通信アンテナ「ITSスポット」とETC2.0対応の車載機、カーナビが双方向通信することで多彩なサービスを提供することが可能となっており、ITSスポットは全国1700ヶ所以上に設置されています。
 

ETC2.0で追加された機能

従来のETCは高速道路などの料金所で停車せずに通行料金を精算できるシステムで、機能を有効に活用できるのは料金所を通過するときに限定されます。
 
一方、ETC2.0では、高速道路等を走行中、常に情報の受け渡しが可能です。それによって走行中でも情報の通信が行われ、広範囲の渋滞情報をリアルタイムに取得して最適な迂回ルートを選択できます。
 
またETC2.0では一時退出・再進入時の料金の同一化が進められています。高速道路に乗ったあとに一度スマートインターから退出して寄り道するときに便利です。
 

ETC2.0の普及率は年々上昇している

ETC2.0は平成28年から普及が始まりました。当初の利用率は1.5%とほぼ利用されていない状態でしたが、その後は利用率が右肩上がりで上昇しています。国土交通省によれば、令和6年1月時点での利用率は33.0%となっています。
 
図表1

図表1

国土交通省 ETCの利用状況を基に筆者作成
 

従来のETCは利用できなくなる?

ETC2.0の普及が進むと「これまでのETCが利用できなくなるのでは?」と心配になる人もいるかもしれません。
 
実際のところ、当面は従来のETCも並行して利用できると予想できます。ETC2.0は今までのETCに付属機能が追加された側面が強く、料金収受というETCの基本機能に変更がないためです。
 
ただし、2030年以降は注意が必要です。国土交通省は2017年10月、ETCに関するセキュリティ規格を変更する予定であると発表しており、旧セキュリティ規格のETCは利用できなくなる可能性があります。
 

ETC2.0には従来のETCにはないさまざまなメリットがある

ETC2.0を利用することにより、高速道路などの料金所を通過する以外に、特定の区間で割引になるメリットがあります。例えば、圏央道や新湘南バイパスの一部区間では、ETC2.0を利用する人を対象に通行料金が約20%割引となります。
 
また、ETC2.0では、高速道路から一度退出しても、一定時間以内に再度入場する場合には追加料金が発生しません。高速道路から周辺の道の駅に追加料金なしで退出・再入場できることで、これまでなら追加料金が発生することを懸念して立ち寄れなかった道中の観光地にも立ち寄りやすくなっています。
 

まとめ

ETC2.0は従来のETCが持つ「料金所のスムーズな通過」という機能に加え、最新の渋滞・混雑状況をリアルタイムで受信できたり一定時間内の再入場時に料金がかからなかったりと、これまでにない新しいサービスやメリットを受けることができます。
 
現在旧ETCを利用していて、ドライブをより快適なものにしたいと感じる人は、ETC2.0への買い替えを検討してみるとよいでしょう。
 

出典

国土交通省 ETCの利用状況
国土交通省 セキュリティ規格の変更について
NEXCO東日本 ETC2.0割引
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー