小さい子どもを連れて買い物をしていると何かとトラブルも多く、大変なこともあるでしょう。   親が目を離したすきに商品を触って、壊したり穴をあけたりしてしまうこともあるかもしれません。そのような場面に遭遇してしまった場合、どうすればよいのか気になる方もいるでしょう。   本記事では、小さい子どもがスーパーで肉のパックに穴をあけたときの責任や、親の買い取り義務などについて詳しくご紹介します。

子どものいたずらは誰が責任を負うのか?

スーパーの商品である肉のパックに穴をあけてしまうことは、そのスーパーに損害を与えることにつながります。たとえ小さい子どものいたずらであっても、責任はきちんと負わなくてはなりません。
 
しかし、民法第712条では「未成年者は、他人に損害を加えた場合において、自己の行為の責任を弁識するに足りる知能を備えていなかったときは、その行為について賠償の責任を負わない」というように、小さい子どもには責任能力がないとされています。
 
では、誰が責任を負うのかというと、民法第714条で「責任無能力者がその責任を負わない場合において、その責任無能力者を監督する法定の義務を負う者は、その責任無能力者が第三者に加えた損害を賠償する責任を負う」と定められているように、「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」つまり「子どもの親権者」に該当する人ということになります。
 
今回の事例では、例えば母親と一緒に買い物に来ていた場合、子どもが肉のパックをつついて穴をあけたのであれば、母親が責任をとらなければならないと考えられるでしょう。
 

子どもが穴をあけた商品を親が買い取る義務はある?

子どもがスーパーの商品である肉のパックをつついて穴をあけてしまった場合、その肉の買い取りが親に義務づけられているわけではありません。
 
ただし、民法第709条には「不法行為による損害賠償」について「故意又は過失によって他人の権利又は法律上保護される利益を侵害した者は、これによって生じた損害を賠償する責任を負う」と定められています。
 
今回の事例の場合、子どもがパックに穴をあけたことが原因でその肉を商品として販売できなくなると考えられるため、お店が得るはずだった利益を侵害したことになります。そのため、生じた損害を賠償する責任が親に生じるということです。
 
結果的には、肉を買い取る形で損害を賠償することになる可能性が高いでしょう。
 

小さい子どものいたずらを目撃したときはどうすればいい?

今回の事例のような小さい子どものいたずらは、本来であれば親が注意するべきでしょう。しかし、目を離したすきに起きたことであった場合、親がいたずらに気付かないというケースも考えられます。
 
食品の場合は安全と衛生が重要になるため、パックに穴をあけられた商品をほかの利用客が気付かずに購入してしまっては大変です。「お節介だろうか」とちゅうちょする気持ちもあるかもしれませんが、気が付いた場合には親に状況を伝え、必要に応じて店員にも知らせることをおすすめします。
 

小さい子どものいたずらを目撃したときは親や店員に伝えよう

基本的には、子どもには責任能力がないとされています。そのため、小さい子どもがスーパーで売られている肉のパックをつついて穴をあけてしまった場合、親権者が責任を負うことになります。
 
穴をあけた肉のパックを販売できなくなったことで、お店が被った損害を賠償する責任が生じ、親が商品を買い取る形になる可能性があるでしょう。
 
もし一緒にいる親が目を離していたなどで子どものいたずらに気付かなかったようであれば、親に声をかけて状況を伝えましょう。直接言うのがためらわれる場合は、店員に知らせて代わりに話してもらうのも方法のひとつです。
 

出典

e−Govポータル 民法(明治二十九年法律第八十九号) 第三編 債権 第五章 不法行為 第七百九条(不法行為による損害賠償)、第七百十二条(責任能力)、第七百十四条(責任無能力者の監督義務者等の責任)
 
執筆者:FINANCIAL FIELD編集部
ファイナンシャルプランナー