私の人生最期の挑戦で、広島観光ガイドになりました。観光ガイド養成講座では「ガイドの良し悪しは、知識の深さで決まるものではない」と教えられましたが……。

みんな違って、みんないい

『広島観光ガイドになります』と決意したのは、2023年9月のこと。

広島市観光ボランティアガイド協会の会則によると、「観光案内に必要な知識を習得するよう心がけるとともに、協会が実施する研究会などに参加し、観光ガイドに必要知識や技術のレベルアップに努める」とあります。

研修中に聴いた先輩ガイドさんたちのガイド内容は、資料の丸写し文章ではなく、皆違っていました。そして、皆それぞれ素晴らしかったのです。

「ガイドは桜梅桃李。みんな違って、みんないい」とも教えられました。

たくさんの資料もいただきました。それらをどう消化し、どう組み立て、どう伝えるか、が私の課題です。

漫画『はだしのゲン』を読みました

広島に投下された原爆の威力はどれほどだったのか、その被害の大きさや悲惨さはどれほどだったのか。それを知るために、近くの公民館図書室で『はだしのゲン』を読みました。

漫画『はだしのゲン』を読みました
〔コミック版〕はだしのゲン 全10巻 中沢 啓治 (著) 汐文社

確か10年程前でしたでしょうか、松江市からの提議で小中学校では自由に閲覧できなくなった漫画です。その悲惨さや暴力が問題視されたと記憶しております。NHKの『クローズアップ現代』でも取り上げられ、大きな問題となったようでした。

私は広島市にかなり長く住んでいますが、これまで読んだことがありませんでした。

広島市で育った娘に聞くと、『はだしのゲン』は学校の図書室に置いてある唯一の漫画で、繰り返し読んだそうです。近くの公民館では貸出禁止扱いでしたので、1週間程通って全10巻を読みました。

不思議なことですが、まだテレビのない昭和25・26年頃、主人公のゲンたちが歌っていた替え歌の戯れ唄や「パパママピカドンで、ハングリー、ハングリー」というフレーズは遠く離れた北陸に住んでいた私の子どもの頃の記憶のなかにも残っています。

映画『オッペンハイマー』を観ました

原爆を開発した米国の物理学者オッペンハイマーの心の葛藤を描いた作品で、アカデミー賞の7部門を受賞した映画です。3月末に広島で公開されました。

映画「オッペンハイマー」を観ました
映画『オッペンハイマー』の日本初上映にマスコミが押し寄せました

ちょうど今、ガイドのために「広島平和記念公園」を勉強中ですので、初日に観に行きました。日本、とくに広島・長崎での上映は危惧されていたようです。

映画では、核実験の爆発は燃え盛る炎をスクリーンいっぱいに映すことで再現されていました。

上映後は識者の感想・論評が新聞や誌上を賑わしています。私の周囲では、私が観たことを知って「じゃあ、観てみようか」と言う人もいますが、怖いから観ないと言う人の方が多いようです。

「父が路上で被爆死した」「兄が大やけどした」「被爆者手帳を持っている」という人が、私の周囲には何人もいます。ヒバクシャの闘いは今も続いています。

思いを伝えられるガイドに

思いを伝えられるガイドに
被爆後「75年間草木も生えぬ」と言われていましたが、翌年赤い花が咲き、
戦後の疲れた人々を癒やし、勇気づけたそうです。夾竹桃、「原爆の花」とも呼ばれています

修学旅行生のガイドでは、「単にモニュメントの説明だけでなくそこに込められた思いを説明して欲しい」という学校側のリクエストもあるそうです。これからも勉強を重ねて、そうした思いも伝えられるようなガイドをめざしたいと思っています。