◆春季高校野球富山県大会 ▽決勝 富山商7−0高岡商(6日・県営富山)

 決勝戦が行われ、富山商が7−0で高岡商を下し、注目の“両商対決”を制した。179センチの右腕、山本心太郎(3年)が、3安打で初の完封勝利。90キロ台の変化球や伸びのあるストレートで緩急をつけ、際どくストライクゾーンを攻めて打たせて取った。得点圏にランナーを背負ったのは1度のみで、わずか109球の省エネ投球。山本は「今朝、先発と言われました。緊張はしましたが、後ろにいいピッチャーがいるので、1回から全力で投げました」と笑顔で振り返った。

 父の孝司さんは富山商OBで、1988年夏の甲子園に投手として出場。初戦の沖縄水産戦で完投したが、2−4で敗れた。自宅のリビングでは、瓶に入った甲子園の土を眺めてモチベーションをアップ。この日の朝には、父から「味方がエラーしても、自分のピッチングをすること。自分の強みを生かして投げれば大丈夫」とアドバイス。スタンドで応援している父の前で、持ち味の制球力を武器に最高の投球を見せた。

 名前は「心強く生きて欲しい」という意味を込めて名付けられた。「夏は絶対に甲子園に行って活躍したい。父を超えたいです」と山本。父への思いも乗せて、2年連続の夏甲子園を目指す。(中田 康博)