バドミントン男子シングルスで元世界王者の桃田賢斗(NTT東日本)は6日、日本代表活動で最終戦と決めた団体戦のトマス杯を終えて、開催地の中国・成都から成田空港に帰国した。

 14年に日本の初優勝に貢献した思い出深い同大会を“引退試合”に決めた。1次リーグ3試合に出場し、3勝で貢献。1―3で敗れたマレーシアとの準々決勝では5番手で出番が回ってこずに8強で終えた。「もう楽しもうと思って。(終わった瞬間は)ちょっと泣きそうになったけど、こらえました。(大会中は)バスに乗るときもそう、全部が最後だなと思いながら(過ごした)。すごく充実した10年間。もうやり残したことはないです」とすがすがしい表情で話した。

 大会中は海外のライバルからもツーショットを求められたり、観客からも大声援を送られた。「こんなにもたくさんの方が応援してくださって、選手として誇らしい10年間でした」と感謝を込めた。04年から日本代表を指揮する朴柱奉ヘッドコーチも「桃田のリタイア試合。これまで一緒に世界のいろんな大会で優勝できて。トマス杯優勝から一緒にできてうれしかった」とねぎらった

 日本代表として最後の囲み取材が終わると「もう最後ですね…」とさみしげにポツリ。今後は現役続行し、いよいよ競技人生の「第2章」が始まる。次戦はまだ未定だが、国内のS/Jリーグなどに参戦しながら、競技の普及や後進の育成にも尽力していく。今夏のパリ五輪は「一観客として代表を応援したい。日本代表には観客を魅了してもらいたいです」とエールを送った。

 ◇桃田 賢斗(ももた・けんと)1994年9月1日、香川・三野町(現・三豊市)生まれ。29歳。小学1年で競技を始め、福島・富岡一中、富岡高へ進み、3年時の2012年世界ジュニア選手権で優勝。13年にNTT東日本入社。18、19年世界選手権で2連覇。18年9月には日本男子シングルスで初めて世界ランキング1位に君臨し、約3年間、その座を守った。初出場した21年東京五輪は1次リーグ敗退。全日本総合選手権は6度制覇。座右の銘は「感謝」175センチ。左利き。