◆米大リーグ カブス3×―2パドレス(7日・米イリノイ州シカゴ=リグレーフィールド)

 カブスの今永昇太投手が7日(日本時間8日)に本拠地リグレー・フィールドでのパドレス戦に先発。7回0/3を投げて、2ラン本塁打を含む6安打2失点で4試合連続のクオリティースタートを達成。勝敗はつかなかったが、デビューから登板した7試合でチームが全勝という偉業を達成した。

 今永は1−0で迎えた8回に無死一塁からプロファーに左中間に逆転2ランを浴びて交代。8回にモレルが、パドレスの4番手・松井裕樹から犠飛を放って同点に追いつき、9回先頭ブッシュの右越えソロで今季初のサヨナラ勝ちとなった。

 逆転2ランを浴びて降板する先発左腕に、3万8133人を集めた本拠地は、総立ちのスタンディング・オベーションに包まれた。自身初の8回のマウンドで、先頭の代打アラエスに右前打を許した後、続くプロファーへ投じた102球目のスプリットを左中間スタンドに運ばれる、痛恨の逆転2ラン。4月26日(同4月27日)のレッドソックス戦4回一死にオニールにソロ本塁打を浴びてから続いていた無失点イニングが「16」で途切れた瞬間だった。悔しげな表情で交代したが、新人左腕のしびれるようなパフォーマンスに、地元ファンは酔いしれ、逆転勝利の予感は募るばかりだった。

 「2ストライクと追い込んでから歓声が始まって、ロッキーズ戦(4月1日)とは違うような感じがあった。幸せな瞬間でした」。デビュー戦でルーキーに注がれた歓声の質とは、確かに違う。開幕から6試合で無傷の5勝。3・4月のナ・リーグ月間新人賞を受賞した。今永が投げれば、勝つ。勝利の請負人をねぎらう歓声は、9回裏にブッシュが右翼ソロアーチを放ち、今季初のサヨナラ勝ちをもぎ取った瞬間、最高潮に達した。

 変化したのは、ファンの反応だけではない。何より、首脳陣からの信頼が増した。7回を終わってすでに自己最多の球数95球に達していたが、ベンチの采配は続投へー。前回登板は初の中4日登板で自己最長7回を投げ、試合を重ねる毎に、自分の限界を上げている。「当たり前のライン」(今永)が上がったことこその勲章だった。

 「8回のマウンドに上がるという信頼を、この7試合で得られたことが、僕としては一番価値がある。監督からそういう信頼を貰えたということは、自信にしていいと思います。8回、先頭を出して、ゲッツーを取りたいところで、うまく(本塁打を)運ばれてしまった。あそこで淡々とアウトが取れたら、一層の信頼を得て、”当たり前”のラインを(もっと)あげてもらえる。その悔しさはあります」

 6回1死一、二塁のピンチで、この日2三振に押さえていたマチャド、続くボガーツを連続三振斬り。マウンドで雄叫びを挙げ、激しい感情をむき出しにした左腕だが、試合後は、淡々と心情を振り返り、チームでの立ち位置を分析。それも、今永らしかった。

 ◆カブス・カウンセル監督 今永は素晴らしかった。プロファーへの1球はいいボールだったが、相手がうまく打った。一発は打たれたが、彼のパフォーマンスを損なうものではなかった。彼はここまで何の問題もなく、メジャーに適応しているようだ。

 ◆捕手アマヤ 今永の闘志が、チーム全体を燃え上がらせたようだ。彼のパフォーマンスはチームに素晴らしい化学反応を起こしている。